「車で1時間、長くはないだろ」子供を連れた長距離運転→夫に突きつけた現実とは
泣き止まない息子と、片道2時間
チャイルドシートのベルトを締めた瞬間、6ヶ月の息子が泣き出しました。
夫の実家までは、車で片道2時間弱。生まれて初めての長距離移動です。義両親が家まで迎えに来てくれて、運転は義父、夫は私の隣にいました。
おもちゃを鳴らしても麦茶を差し出しても、泣き声は止まりません。背中を撫でるうちに、腕がしびれてきました。
「ずっと泣いてるなあ」
夫はそう言って、また窓の外を見ています。
着いたのは昼前でした。息子を寝かしつけたところで、義母が言ったのです。
「このあと、おばあちゃんのところに寄りましょうね」
初めて聞く予定でした。夫の祖母に顔を見せに行くそうです。
「どのくらいかかるの?」
「車で1時間、長くはないだろ」
断れるはずもなく、私はまた息子を抱えて車に戻りました。義祖母の家を出たあとで、お墓参りにも行くと聞かされたのです。
砂利道を歩いたのは、私だけ
日陰のない墓地の砂利道を、抱っこ紐で歩きました。息子の背中が汗で濡れていきます。夫は桶を持って、義父と先を行きます。
「代わってくれない?」
「今、手が塞がってるから」
戻ったのは夕方です。夕飯の味も覚えていません。
帰りの車で口を開きました。
「今日は正直、しんどかった」
「そういう人達なんだよね、うちは」
「俺は長いと思わなかったけど」
「息子をほとんど見てないから、そう言えるんだよ」
その夜は、そのまま言い合いになりました。
上がり框で座り込んだ夫
次の帰省の朝、玄関で夫に告げました。
「今日は、息子をあなたが全部見てね」
「いいよ、それくらい」
夫が笑っていられたのは、車が走り出して十分後までです。
泣きじゃくる息子を、夫は片手で抱え続けました。義祖母の家への道でも墓地の砂利道でも、抱っこ紐は外せません。シャツは背中まで濡れています。
「……なあ、ちょっとだけ」
「あとでね。手が離せないの」
義実家の玄関で、夫は上がり框に座り込みました。
「毎回、これをやってたのか」
「すぐ、なんでしょ」
夫は口を開いて、言葉が出ないまま閉じました。義母が覗き込みます。
「あんた、顔が真っ青よ」
義父も続けます。
「ずっと嫁さん一人に任せてたんだろう」
夫はうつむいて、膝の上で手を握りしめています。
「悪かった。俺が、分かってなかった」
「気づいてくれて、よかった」
次の帰省から、夫は前の週に予定を出してきます。どこへ寄って何時間かかるのか、全部自分で調べて。
車の中で息子が泣けば、先に手を伸ばすのも夫です。義母は「あの子、別人みたいね」と目を丸くしています。私は後部座席で、ようやく窓の外を眺めていました。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














