「開けてないけど、同じやねん」おもちゃの交換を何度も頼む常連客。だが、店長が毅然と対応した結果
新しいおもちゃが入った日
私が働いていた店では、お子さま向けの商品に、小さなおもちゃが付いていました。
中身は数種類あり、袋を開けるまで何が入っているか分からない仕組みです。
新しいシリーズに切り替わった日の昼過ぎ、よく見かける年配の女性がやってきました。
「今日から新しいのになったんやろ?」
「はい、今日からです」
女性は孫のために集めているらしく、新シリーズが出るたびに買いに来ていました。
その日も商品を受け取ると、店内の席へ向かっていきました。
未開封の袋を持って戻ってきた
ところが10分ほどすると、女性が再びカウンターへやってきました。
手には、先ほど渡したおもちゃの袋があります。
「これ、替えてくれへん?」
見ると袋は開いていません。
「何か不具合がありましたか?」
そう尋ねると、女性は首を振りました。
「いや、開けてへんけど、これ同じやと思うねん」
私は返事に困りました。
中身の見えない袋なのに、どうして同じだと分かるのでしょう。
実はこの女性、以前にも何度か「同じものだったから」と交換を頼みに来たことがありました。
そのたびにスタッフが対応に迷っていたため、私は店長を呼ぶことにしました。
店長が伝えた交換のルール
事情を聞いた店長は、女性に穏やかに尋ねました。
「こちらのおもちゃは、中身を選べない商品なんです」
「でも、まだ開けてへんで?」
「はい。ただ、同じ種類だったという理由で別の袋に交換してしまうと、中身を選べることになってしまいますので」
店長は責めるような口調ではなく、淡々と説明しました。
「不良品などの場合は確認して対応しますが、欲しい種類を選ぶための交換はお受けできないんです」
すると女性は少し黙ったあと、困ったように笑いました。
「……やっぱり分かるか」
そして、小さな声で続けました。
「孫がな、光るやつ欲しい言うてんねん。袋の上から触ったら、なんとなく形が分かる気がしてな」
どうやら女性は、袋の感触から中身を予想して、目当てではなさそうなものを交換してもらおうとしていたようです。
それから交換を頼まれることはなくなった
店長は事情を聞いても態度を変えませんでした。
「お孫さんに喜んでほしいお気持ちは分かります。ただ、皆さん同じ条件で楽しんでいただいていますので」
女性はしばらく袋を見つめたあと、「そら、そうやな」と鞄にしまいました。
怒ることもなく、その日はそのまま帰っていきました。
それからも女性は店に来ましたが、おもちゃの交換を頼むことはなくなりました。
ある日、袋を開けた女性が嬉しそうにカウンターへやってきました。
「見て。やっと孫が欲しがってたやつ出たわ」
手にしたおもちゃを見せる表情は、とても満足そうでした。
ルールを曖昧にせず、それでも相手を責めない店長の対応を見て、伝え方ひとつでその後の関係も変わるのだと感じた出来事です。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














