「通帳は空っぽだ、実家に使った」勝手に使われた積立金。だが、夫の身勝手な主張に離婚を決意
増えていくはずだった残高
子どものことで、少しまとまったお金がいる時期でした。積立の口座から下ろそうと、私は通帳を持って銀行へ行きました。
結婚してから、二人でコツコツ貯めてきた口座です。
元夫はお金にルーズで見栄っ張りな人でしたが、子どもが生まれてからは、積立だけは続けていました。窓口で通帳を出すと、係の人が申し訳なさそうに言います。
「残高が足りないのですが」
画面に映った数字は、ほとんどゼロでした。
小さな家が建てられるほど貯まっていたはずの積立が、消えていたのです。
問い詰めても濁される日々
家に帰って、聞きました。元夫は、はぐらかすばかりでした。
「何かの間違いじゃないの」
「間違いじゃない。通帳、見たもの」
「……あとで確認しておくよ」
その「あとで」は、いつまでも来ませんでした。翌日も、その翌週も、私は聞き方を変えて何度も尋ねます。けれど元夫は、そのたびに目を伏せて言葉を濁しました。
「今は、話したくない」
「じゃあ、いつなら話せるの」
問い詰めるほど、口は重くなっていきました。ひと月近く経った夜、ようやく元夫が絞り出したのが、この一言でした。
「通帳は空っぽだ、実家に使った」
自分の実家の借金を、黙って積立から返していたのだと言います。相談は、ただの一度もありませんでした。
別れを選んだ理由
不思議と、涙は出ませんでした。ここまで濁され続けて、もう問い詰める気力も残っていません。呆れて、口から出たのは短い言葉でした。
「もう、いいよ」
「待ってくれ。次こそ、ちゃんと返すから」
その言葉なら、これまで何度も聞いていました。同じ約束が宙に浮いては消えていくのを、私はもう数えきれないほど見てきたのです。
責めても、お金は戻ってきません。返すという言葉も、これまでと同じで宙に浮くだけだと分かっていました。私は、この人と暮らしを立て直す未来が、どうしても描けなかったのです。
別れを切り出したのは、私からでした。元夫は引き止めようとして、また言いかけたまま黙り込みます。最後まで、はっきりした言葉は返ってきませんでした。
手放したものは、家が建つほどの積立と、この結婚でした。それでも、通帳を握りしめて問い詰める夜が終わっただけで、私はずいぶん楽になれたのです。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














