tend Editorial Team

2026.09.14(Mon)

「離婚するかどうかくらい、私たち二人で決めさせてください」離婚を止めようと集まった親戚。だが、お嫁さんが静かに返した一言

「離婚するかどうかくらい、私たち二人で決めさせてください」離婚を止めようと集まった親戚。だが、お嫁さんが静かに返した一言

結婚のときも、親戚が集まった

息子の結婚が決まったとき、私は座敷の上座で挨拶をした。

私の家では昔から、結婚の話を当人だけで進めず、親戚が集まって話をする。

私自身もその中で結婚した人間なので、順番が来ただけだと思っていた。

あの日は、相手の家のことも少し調べたほうがいいのではないか、という声が二度ほど上がり、用意された紙が親戚の間を回った。

最後まで目を通した一人が、紙を置きながら言った。

「まあ、ここまで見たなら十分じゃないか。私は別に問題ないと思うよ」

「そうだな。本人たちが決めたことだしな」

そんな言葉が続き、その日はそれで話が終わった。私はようやく肩の荷が下りたような気がした。

二度目に人が集まったのは、それから二年後だった。

息子夫婦の間がうまくいっていないらしい、という話が親戚の間にも伝わり、気づけばまた同じ座敷に座布団が並んでいた。

障子を閉めてから数えると、親戚は10人いた。

「二年で離婚っていうのは、ちょっと早くないか」

「もう少し様子を見たらどうだ。今すぐ決めなくてもいいだろう」

「夫婦なら、ぶつかることくらいあるよ」

責めているつもりではないのだろう。みんな、できれば丸く収めたいという顔をしていた。

それでも言葉が重なるほど、私はだんだん居心地が悪くなった。

末席では、お嫁さんがずっと膝の上で指を組んでいた。

しばらく黙っていた彼女が、ようやく顔を上げた。

「すみません。ひとつだけ、言ってもいいですか」

その声で、座敷の話が止まった。

彼女は一度息をついてから、静かに続けた。

「離婚するかどうかくらい、私たち二人で決めさせてください」

声を荒らげたわけではなかった。

それなのに、その一言だけは妙にはっきり耳に残った。

親戚の一人が困ったように眉を寄せた。

「でもなあ…うちは昔から、こういうことはみんなで話してきたからな」

「それは分かっています」

彼女は小さくうなずいた。

「皆さんが心配してくださっているのも分かります。でも、私たちがどうしたいのかを聞かれる前に、離婚するなって言われるのは……少し違うと思うんです」

最後のほうは、少し声が震えていた。

誰も、すぐには言葉を返せなかった

座敷が静かになった。

誰かが咳払いをしたが、そのあとに言葉は続かなかった。

やがて上座にいた最年長の親戚が、湯呑みを置いた。

「…まあ、そう言われるとな」

しばらく畳を見つめてから、ゆっくり顔を上げた。

「昔からこうしてきたから、今回もそうするものだと思ってた。けど、確かに二人の話だな」

別の親戚が、「でも、心配はするぞ」と言った。

すると最年長の親戚は苦笑した。

「心配するのと、代わりに決めるのは別だろう」

その言葉に、強く反対する人はいなかった。

結局、その日は離婚する、しないという結論を親戚の前で出すことはなく、二人で話すことになった。

帰り際、玄関で靴を履いていると、親戚の一人が私の横で小さく息を吐いた。

「……あれは、言われても仕方なかったな」

私は少し迷ってから答えた。

「うん。私も、あの場でそう思ったよ」

それから、結婚でも離婚でも、あの座敷に10人が集まることはなくなった。

息子夫婦は自分たちで何度も話し、時間をかけて結論を出した。

後日、お嫁さんから電話があった。

「この前のこと、二人でちゃんと話しました」

「そうか」

私はそれ以上、何が正しいとも言わなかった。

少し間を置いてから、彼女が言った。

「私たちで決めました」

「うん。それなら、それでいいと思う」

電話を切ったあと、私はあの座敷のことを思い出していた。

昔から続いてきたからといって、それを次の世代にもそのまま渡さなければならないわけではない。

あの日の一言で、ようやくそれに気づいた気がした。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.10.14(Wed)

「こんなに頼んだ覚えはないぞ!」回転寿司で注文を手伝った私に怒鳴る男性客。注文履歴を見せると態度が一変
tend Editorial Team

NEW 2026.10.14(Wed)

「いらねえよ、そんなもん」毎朝レシートを拒否する男性客。だが、レジ横の案内を見て慌てて床にかがんだ理由
tend Editorial Team

NEW 2026.10.13(Tue)

「アイスクリーム、ひとつお願いします」初めてアイス専門店に入った母。30種類を15分見比べた末に選んだ味に笑った
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.07.13(Mon)

「お弁当が茶色ばかり、手抜きに見えるわ」遠足で私の弁当を見下したママ友。庇ってくれたママと親友になった日
tend Editorial Team

2026.06.26(Fri)

「やっちゃったな…修理に出そう」運転中の事故。だが、彼の電話で聞いてしまった事実に背筋が凍った
tend Editorial Team

2025.10.14(Tue)

千鳥・かまいたちも困惑。千鳥の鬼レンチャンで2年前に『お蔵入り』したVTRを突如放送、ものまねタレント・ビューティーこく...
tend Editorial Team