tend Editorial Team

2026.08.24(Mon)

「あれ、ちょっと危ないね」子どものそばで続いた傘の素振り。だが、駅員が声をかけた瞬間

「あれ、ちょっと危ないね」子どものそばで続いた傘の素振り。だが、駅員が声をかけた瞬間

列のすぐそばで、傘が何度も動いていた

「電車、まだ?」

ホームの列の先頭で、小さな子どもが背伸びをしました。隣にいた母親が、その手を握り直します。

「もうすぐだよ。ここで待ってようね」

私はその親子の後ろに並んでいました。雨上がりだったため、ホームには濡れた傘を持った人が多く、帰宅時間と重なって列も少しずつ長くなっていました。

そんな中、列の先頭から一、二歩ほど横に離れたところにいた男性の動きが目に入りました。

男性は閉じた傘を両手で握り、ゴルフクラブのように構えていました。そして足元を確かめるようにして、ゆっくりと何度も振っています。

大きく振り回しているわけではありません。待ち時間の手持ち無沙汰で、軽く素振りをしているだけのようにも見えました。

ただ、傘は本人が思っている以上に長いものです。

振った先には、列の先頭にいる子どもがいました。今は届いていなくても、男性が一歩動いたり、傘が手から滑ったりすれば危ない距離です。

隣にいた人も男性のほうを見て、小さな声で言いました。

「あれ、ちょっと危ないね…」

私も同じことを思っていました。

けれど、知らない人へいきなり注意するのはためらわれます。男性に悪気があるようにも見えず、かえって話がこじれたらと思うと、なかなか声をかけられませんでした。

巡回してきた駅員が足を止めた

そのとき、ホームを歩いていた駅員がこちらへ近づいてきました。

列の様子を確認しながら巡回していたようでしたが、男性が傘を振っているのを見ると、そのそばで足を止めました。

「すみません。傘を振るのは危ないので、おやめください」

声をかけられた男性は、少し驚いたように振り返りました。

駅員が列の先頭にいる親子のほうへ視線を向けると、男性もそちらを見ます。

「あ…すみません。そんなに近いと思ってなくて」

男性はすぐに傘を下ろしました。

「お待ちの間は、傘を縦に持っていただけると助かります」

駅員はそれ以上責めることなく、そう伝えると再びホームの確認へ戻っていきました。

男性も小さく会釈をし、その後は傘を足元にまっすぐ立てて持っていました。

母親は子どもの手を握ったまま、通り過ぎる駅員へ「ありがとうございます」と小さく頭を下げます。

やがて電車がホームへ入り、私たちは順番に乗り込みました。

誰かが怪我をしたわけでも、大きな言い争いになったわけでもありません。ただ、本人には何気ない行動でも、場所によっては思わぬ危険になることがあります。

それを必要以上に責めず、危ない理由が伝わる形で声をかけた駅員の対応が、今でも印象に残っています。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.10.11(Sun)

「今日だけだから」と言い訳する隣人。うちの駐車場で勝手に水をくんでいた奥さんが、続けて口にした信じられない一言
tend Editorial Team

NEW 2026.10.11(Sun)

「順番なんか知るか、海の見える席にしろ」ホテルの朝食会場で怒鳴った男性。だが、結局中央の席を選んだ理由
tend Editorial Team

NEW 2026.10.10(Sat)

「私ならちょっと無理かも」私が出産した産院を口コミで否定するママ友。最後に本人が選んだ場所に唖然
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.05.05(Tue)

「もう二度と帰省しません!」嫁をお手伝いさん扱いする義母にブチギレた結果、夫の意外な行動で形勢逆転した話
tend Editorial Team

2026.08.09(Sun)

「スマホ見たの?」浮気を問い詰められた彼。話し合いの末、別れた私の本音とは
tend Editorial Team

2026.07.27(Mon)

「偶然を装って会ってると思うの」休日に偶然会った同僚。だが、加速する同僚の行動に転職を決意
tend Editorial Team