「小さい子が待ってるよ、順番ね」子供が順番を抜かしても放置する母親。だが、別の女性が注意した結果
ベンチの親は、顔を上げなかった
よく晴れた休日の公園は、遊具のまわりに子どもたちが集まって、どこもにぎわっていた。
私はベンチに腰かけ、走り回る子どもたちの声を聞きながら、その様子をぼんやりと見守っていた。
ふと目をやると、滑り台の前で、小さな女の子が一人、両手を前で合わせて、じっと自分の番が来るのを待っていた。
そこへ後から来た大きな子が、当たり前のような顔で前へ割り込んでいく。
「早く登りたいから」
そう言って何度も横から入ろうとする大きな子に、小さな子はどうしていいかわからず、うつむいて黙り込んでしまった。
その大きな子の親は、少し離れたベンチにいた。それなのにスマホをのぞき込んだまま、我が子が何をしているのかにも、まるで気づいていない。
順番を抜かされ、うつむいたままの小さな子を見て、私は胸のあたりがざわつくのを感じた。
誰か声をかけてあげればいいのに。そう思いながらも、通りすがりの私が他所の子に口を挟んでいいものかと、迷ってなかなか動けずにいた。
先に並んだ母の声で、場が収まった
すると、待っていた小さな子に付き添っていた母親が、腰を落として子どもの目線になり、割り込もうとした大きな子にそっと声をかけた。
「小さい子が待ってるよ、順番ね」
とがった言い方ではなく、どこまでも落ち着いた口ぶりだった。大きな子はきょとんとした後、ばつが悪そうにうなずいて、自分から列の後ろへと下がっていった。
「順番を守れて、えらいね」
母親はそう声をかけてから、待っていた小さな子に「どうぞ」とうながした。
「わあ、ありがとう」
小さな子はぱっと顔を輝かせて、うれしそうに階段を登っていく。その後ろで大きな子も、今度はちゃんと自分の番を待っていた。
大きな子の親は、その一部始終に最後まで気づかず、スマホから顔を上げることもなかった。それでも、あの母親のやわらかなひと言だけで、こじれかけていた場は、いつのまにか静かに収まっていた。
目くじらを立てなくても、たったひと声で場は整うのだ。私はその光景を眺めながら、胸のつかえがすっと下りていくのを感じていた。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














