「戻すのはやめたほうがいいかな」パンを触っては戻す子供。だが、スタッフが取った対応で空気が一変
パンの前だけ、列が止まっていました
旅行先のホテルで朝食ビュッフェを利用したときのことです。
料理台にはご飯や総菜、サラダなどが並び、その先に数種類のパンが入ったかごが置かれていました。
私は皿を持って列に並んでいましたが、なぜかパンの前だけ人の流れが止まっています。
少し前を見ると、小さな子どもがパンのかごをのぞき込んでいました。
どれにしようか迷っているようで、ひとつのパンを手に取っては戻し、別のパンにも触れています。
すぐ横にはトングが置かれていましたが、子どもは使っていませんでした。
最初は私も、「どれを食べるか迷っているのかな」と見ていました。
ところが、その子は何個ものパンに触れては戻すことを繰り返していました。
近くには保護者もいました。
「食べたいのを選んでおいで」
そう声をかけながら見守っていましたが、パンを直接触っていることについては特に注意する様子がありません。
(戻すのはやめたほうがいいかな)
子ども自身に悪気があるわけではないでしょう。まだ小さく、ビュッフェではトングを使うものだと分かっていなかったのだと思います。
ただ、一度触ったパンを何度もかごへ戻している様子を見てしまうと、周囲としてはなかなか手を伸ばしづらいものです。
実際、前に並んでいた人はパンを取らず、そのまま次の料理へ進みました。
その後ろの人も同じでした。
パンはたくさん残っているのに、そこだけ誰も取らなくなっていたのです。
スタッフが、パンのかごを下げました
しばらくすると、会場を見回っていたスタッフが異変に気づきました。
パンの前で足を止める人たちと、かごのそばにいる子どもの様子を確認すると、すぐに別のスタッフへ声をかけます。
そして、子どもが触っていたパンのかごをいったん料理台から下げました。
「新しいものをお持ちしますね」
ほどなくして、別のパンが入った新しいかごが運ばれてきました。トングも一緒に交換されました。
そのあとスタッフは保護者のそばへ行き、穏やかな声で伝えていました。
「お子さまも、こちらのトングをお使いください」
責めるような言い方ではありませんでした。
保護者もそこで状況に気づいたようで、「すみません」と小さく頭を下げ、子どもを呼び戻しました。
「パンはこれで取ろうね」
そう言ってトングを渡すと、子どもは両手で一生懸命に持ち、パンをひとつ挟みました。
うまく取れたことがうれしかったのか、満足そうに保護者のところへ戻っていきます。
新しいパンが並ぶと、それまで避けていた人たちも再び手を伸ばし始めました。
私もパンをひとつ取り、席へ戻りました。
小さな子どもなら、ビュッフェのルールを知らなくても不思議ではありません。
だからこそ、周りの大人がその場で教えることが大切なのだと思います。
誰かを強く責めることなく、料理を交換し、必要なことだけを伝えたスタッフの対応が印象に残った朝でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














