「この前の洗剤、なかなか落ちないぞ」大伯父の何気ない一言。だが、伯父が黙り込んだワケ
断ったあとから、少し空気が変わった
父方の伯父は、自分の店で掃除道具を扱っていました。親戚で集まると、よく新しい商品を持ってきてくれる人です。
「これ、今度使ってみなよ。うちで扱ってるやつだから」
悪気があるわけではありません。伯父としては、自分が良いと思った商品を身内にも使ってほしかったのでしょう。
ただ、使い切る前に次の商品を渡されるので、家の棚には洗剤や掃除用品が少しずつ増えていきました。
ある日、また袋を差し出されたとき、私は思い切って断りました。
「ありがとう。でも、まだ前にもらったのが残ってるから、今回は大丈夫」
すると伯父は一瞬だけ黙り、「そうか」と袋を引っ込めました。
それで終わったと思っていたのですが、次に親戚が集まったとき、伯父がみんなの前で私のことを話し始めました。
「最近は何を持っていってもいらないって言うんだよ。そんなに掃除するものもないのか?」
冗談のつもりだったのかもしれません。ただ、みんなの前で言われると、私はどう返せばいいのか分かりませんでした。
「いや、そういうことじゃなくて……」
そこまで言ったところで言葉が続かず、私は箸を置きました。
上座から聞こえた、思いがけない一言
そのとき、上座に座っていた大伯父が口を開きました。
「そういえば、この前お前が持ってきた洗剤な」
伯父が振り向きます。
大伯父は少し考えるような顔をしてから、のんびりした調子で続けました。
「あれ、なかなか汚れが落ちないぞ。俺の使い方が悪いのか?」
伯父は目を丸くしました。
「え、本当に?結構評判いいんだけどな」
すると近くにいた叔母も、小さく笑いながら言いました。
「うちもまだ一本残ってるよ。私にはちょっと使いにくかったかな」
誰かが伯父を責めたわけではありません。それでも、それまで私の掃除の話だったはずなのに、いつの間にか商品の感想を話す流れになっていました。
伯父は少し困ったように笑いました。
「そっか。じゃあ、身内だからって何でも持ってくるのはやめたほうがいいか」
大伯父は「それがいい」と短く返し、また料理に箸を伸ばしました。
変わったのは、それだけだった
私はその場で伯父に何か言い返したわけではありません。
ただ、自分が商品を断ったからといって、掃除をしない人だと決めつけられる必要はなかったのだと、少しだけ気持ちが楽になりました。
それから伯父が、私に掃除用品を持たせてくることはなくなりました。
かといって、親戚づきあいが悪くなったわけでもありません。法事で会えば普通に話しますし、伯父も以前と同じように親戚の輪の中にいます。
変わったのは、「これを持っていきなよ」と袋を渡されることがなくなったことだけでした。
大伯父の一言も、私を助けようとして言ったものだったのかは分かりません。
それでも、何気なく口にした感想のおかげで、断りにくかったやり取りが自然に終わったことを、私は今でもよく覚えています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














