「あんた、昨日も愛想が悪かったよね。2日続けてだよ」身に覚えのない指摘をする客。だが、客が隣のレジを見て気付いた勘違い
手を止めて、台の番号だけを口にした
レジの台には番号がふってあります。並びの順に1番、2番、3番と続いていて、どこに立つかは日によって変わります。
派遣で入っていた私は、その日の朝に指定された台へ行くことになっていました。
その日は1番でした。前の日は、少し離れた3番です。
夕方の混み合う時間、かごを台へ置いた女性のお客様から、突然こう言われました。
「あんた、昨日も愛想が悪かったよね。2日続けてだよ」
何度か見かけたことのあるお客様でした。横にはお子さんも立っています。
私は少し驚きましたが、まず「昨日は別のレジにおりました」と伝えました。ところが、お客様はすぐに首を振ります。
「違う。昨日もこの列に並んだの。あんただった」
そこで言い合いになっても仕方がありません。私は自分が覚えていることだけを伝えることにしました。
昨日は通路をはさんだ3番のレジにいたこと。そして、1番のレジに入ったのは今日が初めてだということです。
「昨日は3番のレジにいました。1番は今日がはじめてです」
声を強くすることはせず、そのまま会計を続けました。
隣のレジに立った人を見て、言葉が止まった
そのとき、休止中だった隣の2番レジに、別の店員が入りました。
その人は私と背丈が近く、髪も同じように後ろでまとめています。制服も同じなので、少し離れたところから見れば雰囲気はよく似ていました。
お客様はふと隣を見て、その店員の顔をしばらく見つめました。
それから私のほうへ視線を戻し、もう一度隣を見ます。
「…ああ、そっちの人だったかも」
さっきまでの勢いが、そこで少しだけ弱くなりました。
昨日のことを本当に取り違えていたのかもしれません。私はそれ以上、何かを言うことはせず、そのまま商品を袋へ入れました。
隣の店員は、こちらでそんな話になっていることには気づかず、いつも通り自分のレジで接客を始めていました。
会計を終えると、お客様は袋を受け取りました。
「…ありがとう」
謝罪の言葉があったわけではありません。ただ、最初に声をかけられたときより、ずっと穏やかな言い方でした。
私は「ありがとうございました」と返し、次のお客様を呼びました。
接客をしていると、相手の記憶とこちらの記憶が食い違うことがあります。あの日は、無理に分かってもらおうとするより、昨日どこに立っていたのかをそのまま伝えたことで、それ以上話がこじれずに済みました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














