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2026.09.12(Sat)

「寄りかからないでください」混んだ車内で体重をかけてきた乗客。だが、2回も注意しなければいけなかったワケ

「寄りかからないでください」混んだ車内で体重をかけてきた乗客。だが、2回も注意しなければいけなかったワケ

手すりは、頭のすぐ上にあった

帰りの時間、車内は肩と肩が触れる程度に混んでいた。

私は入口の脇で、車内側を向いて立っていた。頭のすぐ上には横に伸びた手すりがあり、揺れても困らない位置だった。

途中の駅で扉が開き、人がまとまって乗ってきた。そのうちの一人、イヤホンをしたスーツ姿の人が私の前に入り、こちらに背を向けて立った。

扉が閉まり、電車が動き出した瞬間、その人の背中がぐっとこちらへ寄ってきた。

最初は揺れた拍子だと思った。

けれど、少し横へ体をずらしても、次に揺れるとまた背中が押しつけられる。

背中から腰のあたりまで、こちらに体重を預けられているようだった。

相手の肩越しに、スマートフォンの画面がちらりと見えた。

動画を見ているようで、指だけがときどき動いている。手すりにも、つり革にもつかまっていなかった。

私は足に力を入れながら、しばらく耐えた。

でも、揺れるたびに重さがかかってくる。

どうして私が、この人の体重まで支えなければならないんだろう。

そう思ったら、もう黙っているのが嫌になった。相手の背中に向かって声をかけた。

「すみません。寄りかからないでもらえますか」

反応はなかった。イヤホンで聞こえていないのかもしれない。

今度は少し声を大きくした。

「すみません、重いんです。寄りかからないでください」

10秒だけ、まわりの音が遠くなった

言い終わると、ようやく体が離れた。

急に軽くなって、私は思わず息を吐いた。

相手が少しだけこちらを振り返った。

「あ…すみません」

それだけ言うと、相手は腕を上げ、頭上の手すりを握った。

最初から、そこにあった手すりだった。

そこから10秒ほど、妙に長く感じる静けさが続いた。

誰かがこちらをじろじろ見ることもなく、次の停車駅を知らせる案内が流れたころには、車内は何事もなかったような空気に戻っていた。

週末、友人と食事をしているとき、ふとその話をした。

「この前、電車でずっと寄りかかられてさ」

「え、知らない人に?」

「うん。動画見ながら、ずっとこっちに体重かけてくるの」

友人は箸を止めた。

「それ、何か言った?」

「最初は我慢してたんだけど、さすがに重くて。寄りかからないでくださいって言った」

「そしたら?」

「『すみません』って。で、普通に上の手すりにつかまった」

友人は一瞬黙ったあと、あきれたように言った。

「最初から、そこにつかまれたんだよね?」

「そう。すぐ上にあったのに」

あの人がわざと寄りかかっていたのか、それとも本当に気づいていなかったのかは分からない。

ただ、私が何も言わなければ、たぶんあのままだった。

「次からは、そんなに我慢しなくてもいいんじゃない?」

「うん。今度はもう少し早く言う」

ほんの短いやり取りだった。それでも、嫌だと思ったときに声に出していいのだと、自分の中では少しだけ思えるようになった。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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