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2026.09.18(Fri)

「何もされてない。でも怖いの」店で親切にした男性が毎朝現れた。それから母に残った習慣

「何もされてない。でも怖いの」店で親切にした男性が毎朝現れた。それから母に残った習慣

のど飴を1つだけ買う人

ずいぶん前の、母の話です。

母はドラッグストアで長くレジを担当していて、困っている人を見ると、つい手を貸してしまうところがありました。

ある日、会計中に小銭を床へ落とした年配の男性がいました。

腰がつらそうで、しゃがんだあと、なかなか立ち上がれなかったそうです。

母はレジを出て一緒に硬貨を拾い、男性が立ち上がるまでそばにいました。

「いやあ、助かったよ。ありがとう」

「いえいえ。慌てなくて大丈夫ですよ」

男性は帰り際にも振り返り、「また来るよ」と笑っていたそうです。

母にとっては、それで終わるはずの接客でした。

ところが男性は翌日も来店しました。

その次の日もやって来て、買うのはいつものど飴を1つだけ。会計が終わっても、出入り口の近くにしばらく立っていることがありました。

母からその話を聞いた私は、少し気になりました。

「それ、毎日なの?」

「うん。でも買い物はしてるし、何か言われたわけでもないのよ」

「ちょっと気になるなら、店長さんに話しておいたら?」

「そうね…でも、これだけで言うのも大げさかなって」

そう答える母も、少し引っかかっているようでした。

毎朝7時に見える赤いヘルメット

男性の来店が続いていたころ、朝早く母から電話がありました。

「ねえ、ちょっと聞いて」

いつもより声が上ずっています。

「どうしたの?」

「赤いヘルメットのバイクが、毎朝7時に家の前を通るの」

「毎朝?」

「ここ何日かずっと。今日、顔が見えたんだけど…店に来てる、あの人だった」

私は思わず黙りました。

「家の前で止まったりするの?」

「ううん。それはないの。少しゆっくり通って、そのまま行っちゃう」

その道を普段から使っているだけなのか、それとも別の理由があるのか、母にも分かりませんでした。

ただ、店で何度も顔を合わせている男性だと分かってしまうと、毎朝同じ時間に見かけることが気になってしまったそうです。

週末、私は実家に泊まりました。

翌朝7時前になると、父も窓の近くへ来ました。

やがて赤いヘルメットのバイクが見え、家の前をゆっくり通り過ぎていきました。

「…あの人?」

「うん。店に来る人」

父は遠ざかるバイクを見ながら、小さく息を吐きました。

「確かに気にはなるな。でも、道を通ってるだけじゃ何とも言えないか」

「そうなの。だから余計に嫌なのよ」

母のその言葉を聞いて、私もようやく分かりました。何かをされたわけではないからこそ、どう受け止めればいいのか分からなかったのです。

その後も赤いヘルメットのバイクは朝7時ごろに見かけましたが、1か月ほどすると来ない日が増え、やがて姿を見なくなりました。男性も店には来なくなったそうです。

先月、久しぶりに実家へ泊まったときのことです。

朝7時になると、台所にいた母がふと手を止め、窓の外を見ました。

「まだ見るの?」

私が聞くと、母は苦笑しました。

「もう来ないって分かってるんだけどね。時間になると、つい見ちゃうのよ」

そう言って一度だけ外を確かめると、母は何事もなかったように朝食の支度へ戻りました。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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