「窓から海が見える。8万円ちょうだい」と手付金を求める又貸しの友人。内見に来た私の一言に立ち尽くした
月末に呼ばれた、友人の空き部屋
友人は白い封筒を差し出し、笑顔で手付金を求めました
月末に今の部屋を退去する予定だった私に、友人が声をかけてきました。
『私が引っ越すから、この部屋に住まない?』。
案内されたのは、マンションの7階にある友人の部屋です。
以前から付き合いはありましたが、部屋に入るのは初めてでした。
すでに家具が運び出された居室は薄暗く、窓にはベージュのカーテンが閉まったままです。
友人の説明では、契約は友人の名義のままで、管理会社の承諾を得て私に又貸しするという話でした。
ただし、承諾を確認できる書類はまだ見せてもらっていません。
海が見える部屋だからという理由で、提示された家賃は高めでした。
さらに、部屋を押さえるための手付金として、先に8万円を現金で渡してほしいと言われていました。
私は部屋の状態や契約条件を確認してから判断するつもりでしたが、友人は白い封筒を私の前へ差し出し、笑顔で言いました。
「窓から海が見える。8万円ちょうだい。」
友人はカーテンの端を押さえ、窓の景色を自慢しました
私は返事に詰まりました。今の部屋は今月末に退去することが決まっているのに、次の住まいはまだ見つかっていません。
保証人を頼める人がおらず、申し込んだ物件の審査にも通らなかったため、部屋探しは難航していました。
以前、部屋探しに困っていた私と不動産屋を一緒に回ってくれたのも、この友人です。
そのため、今回の話も最初は親切心からだと思っていました。
しかし、実際の景色を見せてもらう前に8万円を求められたことが、どうしても気になりました。
友人は窓の前に立ち、カーテンの端を手で押さえたまま続けました。
『日焼けするから、閉めたままにしてあるの。ほかにも申し込みが入ってるから、今日中に決めてね』。
「窓の前は、何も遮らない。」
「昼も夜も、窓から海が見える。」
そう言いながらも、友人はカーテンを開けようとしません。私はますます不思議に思いました。
閉めきったカーテンの前で、私が決めたこと
私がカーテンを開けると、窓の目の前に灰色のビルの壁がありました
8万円は、引っ越しのために取っておいた大切なお金です。景色も契約条件も確かめないまま渡すわけにはいきません。
私は封筒を受け取らず、窓のほうへ歩きました。友人は何か言いかけて口を閉じ、半歩さがります。
あれだけ眺めを自慢した手前、止めることもできないようでした。封筒を持つ手が、胸の前で固まっていました。
「窓の外を見てから、決めるね。」
私はカーテンの端をつかんで、一気に引きました。すると、窓のすぐ向こうに、灰色のビルの壁が立っていたのです。
隣に建つビルは、この部屋よりも高く、窓の外に大きな壁が迫っています。
海はもちろん、空さえほとんど見えません。
友人は封筒を握りしめたまま、うつむいて肩を落としました
友人の笑顔は消えました。眉が寄り、口の端が引きつっています。
「壁の向こうに、海はあるでしょ!」
「この窓には、壁しか見えないよ。」
友人は言い返せず、肩を落としました。
話を聞くと、以前は本当に海が見えていたものの、隣に高いビルが建ってから、景色がすっかり変わってしまったそうです。
友人は家賃の負担が厳しくなり、引っ越しを決めたとのことでした。しかし、海が見えなくなったことを伝えれば、私が断ると思ったのでしょう。ほかにも申し込みがあるという話も、事実ではなかったようです。
友人は封筒を胸の前で握りしめ、私と目を合わせないまま、うつむいていました。
景色について嘘をつかれた以上、管理会社の承諾を得ているという説明も信用できません。私はこの部屋を借りないことに決めました。
最後にもう一度、窓の外の壁を見やり、『海が見えたら、教えてね』と告げて、部屋を出ました。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














