「こういうのは若い人のほうがいい」子ども3人を育てる私に班長を任せた奥さん。翌年、会長から指摘されたこと
若い人がいいと笑った向かいの奥さん
私が家族とこの町へ越してきたのは、秋のことでした。
子どもは10歳と4歳、それにまだ1歳の末っ子の3人です。
引っ越しのあいさつ回りを終えたころ、町内会の役員から「順番なので、次の次の班長をお願いできますか」と声をかけられました。
小さな子どもがいて不安でしたが、町内会の決まりなら仕方がないと思い、引き受けました。
隣の家の奥さんに話すと、心配そうな顔をされました。
「えっ、小さい子が3人もいるのに?大丈夫?」
「正直、できるかどうか不安です」
そんなある日の昼、末っ子を抱いて門の前にいると、向かいの奥さんが道を渡ってきました。
「今度、班長さんなんですって?」
「はい。でも、子どもがまだ小さいので、ちょっと心配で…」
すると奥さんは笑顔で言いました。
「大丈夫よ。私があなたを勧めておいたんだから」
「えっ、そうなんですか?」
「私にも話が来たんだけどね。こういうのは若い人のほうがいいと思って」
私は思わず黙ってしまいました。
もしかして、本来は向かいの奥さんが引き受けるはずだったのでしょうか。
奥さんはそれ以上何も言わず、家へ戻っていきました。
やがて、私が班長を務める年になりました。
月に一度の会議に夏祭りの当番、町内清掃の手伝い、夜の見回り。思っていた以上にやることがありました。
夫が週末に上の子の習い事へ付き添うあいだ、私は下の子たちを連れて参加することもありました。
大変でしたが、何とか一年間の任期を終えました。
名簿を確認した会長の一言
翌年、次の班長を決める話し合いが、夜の集会所で開かれました。
住人たちが集まり、会長が名簿を見ながら話し始めます。
「では、今年の班長を決めたいと思います」
すると、向かいの奥さんが手を挙げました。
「あの、今年も若い方にお願いしたらどうかしら。去年やった方なら、仕事も分かっているでしょうし」
そう言いながら、こちらを見るのです。
私も思わず奥さんの顔を見ました。
ようやく任期を終えたばかりなのに、また私にやってほしいということなのでしょうか。
何と答えればいいか迷っていると、会長が名簿を確認しながら口を開きました。
「でも、お向かいさんは順番を一度飛ばしていますね」
「えっ、そうでしたっけ?」
「はい。去年は本来、お宅の番でしたよね」
「ああ……そうだったかしら」
「去年は代わりに引き受けてもらっていますから、今年はお宅にお願いしたいんですが」
会長の言い方は穏やかでしたが、名簿を確認したうえでの話でした。
向かいの奥さんは少し困ったような顔をして、何も言いません。
近くの席から「去年、代わってもらってたのね」と小さな声が聞こえました。
私もそこで、以前奥さんが「私が勧めておいた」と言っていたことを思い出しました。
あのとき感じた引っかかりは、やはり間違いではなかったのです。
奥さんはそれ以上、若い人に任せたほうがいいとは言いませんでした。
結局、その年の班長は向かいの奥さんに決まりました。
私は隣の奥さんと声をかけ合い、清掃の手伝いだけを引き受けることにしました。
家に帰って、子どもたちに言いました。
「やっと、週末にゆっくり遊べるね」
子どもたちは「やった!」と喜び、私に飛びついてきました。
班長の仕事を引き受けたこと自体に後悔はありません。ただ、順番があるのなら、きちんと守ってほしかったと思います。
ようやく肩の荷が下りて、ほっとした出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














