tend Editorial Team

2026.05.13(Wed)

「ちょうど買ってあったから」遊びに来た伯父に自分用のお菓子を渡した祖母→子供時代の私が呑み込んだ違和感

「ちょうど買ってあったから」遊びに来た伯父に自分用のお菓子を渡した祖母→子供時代の私が呑み込んだ違和感

玄関のチャイムと、突然顔を出した伯父

祖母の家の、夏の縁側。

麦茶の入ったグラスに、すうっと水滴が伝って落ちていく、そんな静かな午後でした。

祖母と母が、台所のほうから僕に声をかけてくれます。

「○○、テーブルにお菓子があるよ。好きなだけ食べていいからね」

テーブルの上には、僕のために選ばれたお菓子がいくつも並んでいました。

大袋のチョコ、小箱の和菓子、好物のキャラクターつきお菓子。

子どもの僕にとっては、その日のいちばんのご褒美です。

正座をして「いただきます」と手を合わせかけた、その瞬間。

玄関のチャイムが鳴り、立っていたのは、年に数回しか会わない伯父でした。

手土産はなく、にこにこ顔で「近くまで来たから」と上がり込んできます。

「お、なんかいいもんあるじゃないか」

テーブルの上のお菓子に、伯父の視線が、すっと吸い寄せられました。

祖母から手渡された袋と、子供心に残った違和感

祖母が立ち上がり、台所からビニール袋を取ってきます。

母も後ろから手を伸ばし、テーブルの上のお菓子を、ぱぱっと半分、袋に詰めていきました。

「ちょうど買ってあったから」

祖母は、にこにこと笑いながら、その袋を伯父に手渡しました。

「持って行きな、持って行きな」

母も横でうなずいています。

子どもの僕は、座布団の上で背筋を伸ばしたまま、ただ目で追っていることしかできませんでした。

(…それ、僕のために買ってあったお菓子)

胸の奥でだけ、ぐるぐるとその言葉が回ります。

口に出す勇気は、まったくありませんでした。

伯父はにこにこ顔で「悪いね、悪いね」と袋を抱え、家を出ていきます。

玄関の引き戸の音が聞こえた後、テーブルの上には半分になったお菓子だけが、ぽつんと残っていました。

「さ、食べていいよ」

母が笑顔でそう言ってくれます。

祖母も「たくさん残ってるからね」と微笑みかけてくれます。

けれど、子どもの僕の手は、しばらくお菓子に伸びませんでした。

ふたりに悪気がなかったことは、いまなら分かります。

大人の付き合いには、こういう振る舞いも自然な一部なのだということも。

けれど、当時の僕が呑み込んだ「自分のために用意してもらったはずなのに」という小さな違和感は、何十年経ったいまも、胸のどこかに薄く残り続けています。

子どもの心は、思っていたよりずっと、覚えているものなのです。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.06.28(Sun)

「他人の子は乗せたくない」雨の日、娘を車に乗せてくれなかったママ友。だが、私の一言で態度が一変
tend Editorial Team

NEW 2026.06.28(Sun)

政府の熱中症対策見直しと避難施設の全自治体設置に賛否!クーリングシェルターの実効性と高齢者への経済支援や個人対策のあり方
tend Editorial Team

NEW 2026.06.28(Sun)

「赤ちゃん、性別わかったの?」妊娠していた私に聞いてきたママ友。続けた言葉に思わず絶句
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.02.09(Mon)

「お金?全然困ってないよ」とマウントをとってくる年下のママ友。だが、ママ友の職場での立ち位置を知り哀れんだワケ
tend Editorial Team

2025.09.10(Wed)

人気YouTuber・SEIKINを襲った「刺されたような」激痛…病名は『びらん性胃炎』。ファンからは「めっちゃ痛そう…...
tend Editorial Team

2026.05.30(Sat)

国勢調査で過去最大の人口減少が判明!東京圏への一極集中と持続不可能な社会保障の未来に私たちはどう向き合うべきか
tend Editorial Team