「結婚しても親戚付き合いはしない主義」彼女から告げられた考え方。半年間付き合った彼女と続かないと感じたワケ
穏やかな顔で語られた人付き合いの線引き
付き合って半年の彼女は、職場では聞き上手で通っているらしい。
私の前でも、笑顔を絶やさず、機嫌を悪くしているところを見たことがなかった。日曜午後のカフェで向かい合っているときも、彼女はいつもの穏やかな顔で水のグラスに口をつけていた。
テーブルの上には、彼女が頼んだミルクティーと私のブレンドコーヒー。ふと結婚後の話題になり、私は何の気なしに、自分の祖母の介護のことを話した。母が遠方の祖母のもとに通っている、と。
彼女はうなずきながら、ティースプーンでミルクティーをかき回した。
「介護はお金で解決する派だから」
聞き返したくなるほど、声色が普通だった。スプーンの動きも止まらない。彼女はまっすぐに私の目を見て、当然のことのように続けた。施設に任せるのが一番効率的で、家族が直接動くのは時間の無駄だ、と。
言葉そのものは現代的で、合理的にも聞こえる。だが、その口調に微塵の迷いもなかったことに、私はうまく相づちが打てなかった。
彼女は私の祖母の話を聞いた直後にこの一言を放っていた。私の母が遠方まで通っていることへの労いも、躊躇いも、一切混ざらないまま。
続けて整えられた親戚との距離
カップを置いた彼女は、ふっと笑って、さらに踏み込んだ。
「あと、結婚しても親戚付き合いはしない主義。冠婚葬祭以外で会う必要ってないと思うから」
窓の外では、家族連れがアイスを手にベンチに座っていた。店内のBGMが、ゆったりとしたピアノに変わったところだった。
付き合い始めた頃、彼女は私の家族写真を見て「すごく仲良さそうですね」と言ってくれた。実家に挨拶に行ったときも、母の手料理を褒め、父の冗談に丁寧に笑っていた。あの時間が嘘だったわけではないと思う。だが今、目の前で語られているのは、その記憶とは別人の言葉だった。
合理的に整えられた価値観は、それ自体は間違っていないのかもしれない。ただ、それを語るときの彼女の表情に、私の家族や親戚の顔が一瞬でも浮かんでいないことが、ひどく寒く感じられた。
「考え方の問題だよね」と、彼女は最後に微笑んでミルクティーを飲み干した。
私は冷めたコーヒーをすすりながら、半年間積み上げてきたつもりの距離が、別の場所に立っていたことに気づいてしまった。
この人と長く続けるのは、たぶん難しい。窓の外の家族連れに目を移しながら、私は静かにその予感を受け止めていた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














