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2026.05.08(Fri)

「近くまで来たから」朝早く玄関の前にいたのはアジとサバを持った義母→夫の一言で撃退した話

「近くまで来たから」朝早く玄関の前にいたのはアジとサバを持った義母→夫の一言で撃退した話

寝起きの玄関にいたのは

その朝、私はパジャマのままダイニングで寝ぼけ眼にコーヒーを温めていました。

土曜日の、いちばん幸せな時間帯です。

隣の部屋では夫もまだ布団から半分出ていない格好で、スマホをぼんやり眺めている。

予定のない週末って、こんなに穏やかなものなんだな、と思った直後でした。

玄関のチャイムが、ピンポンピンポンと立て続けに鳴り響いたのです。

覗き穴から見えたのは、何かを抱えた義母の姿でした。

一瞬で目を覚まして、私は寝間着の襟を整えながらドアを開けます。

「近くまで来たから」

義母が持っていたのはアジとサバが十数尾、丸ごとのままぎっしり。

釣りが趣味の親戚からもらった分を、私たちにおすそ分けしてくれるつもりらしいのです。

悪気がないのは表情でわかりました。

それでも、土曜の朝に何のアポもなく、こちらの予定や気分を一切確認せずに、生魚をどっさり置いていく。

受け取れば、私の一日はそのまま魚を捌く時間に変わってしまいます。

スーパーの切り身しか扱ったことのない私にとって、頭付きの魚十数尾は完全にお手上げのレベルでした。胸の中で「どうしよう」と「困ったな」が混ざり合って、笑顔がうまく作れません。

夫が玄関先で投げた一言と冷気が抜けた家

背後で夫が起きてきた気配があり、寝癖のついた頭のまま玄関に顔を出してきました。

義母を一瞥して、ふっと小さく息を吐いてから、夫はゆっくりとした声で口を開いたのです。

「アポ無しは迷惑だし自分で捌けないなら持ってくるな」

玄関の空気が、すっと引き締まりました。

義母はえ、と短く声を漏らして、笑顔のまま固まってしまいます。けれど夫は表情を変えずに続けました。

「捌ける人に持っていってあげて」

義母は何度か口を開きかけて、帰りました。

スリッパの足音と、エレベーターのボタンを押す機械音だけがやけに大きく響いて、ドアが閉まると、玄関先には魚の匂いだけが薄く残りました。

夫がさっと窓を開けて空気を入れ替えてくれます。

顔を見合わせて、私たちはどちらからともなく吹き出しました。

アポ無し訪問への不快感も、断れない自分への小さな自己嫌悪も、夫の一言で全部すっと抜けていく感じがしたのです。

淹れ直してもらったコーヒーをふたりですすりながら、結局その日は予定通り、何も予定のない穏やかな土曜日になったのでした。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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