tend Editorial Team

2026.05.25(Mon)

「うちは躾に厳しいから」と言っていた義妹。だが、祖母の葬儀に現れた姿に思わず絶句

「うちは躾に厳しいから」と言っていた義妹。だが、祖母の葬儀に現れた姿に思わず絶句

読経前のロビーで響いた声

夫の祖母の葬儀当日、私は会場のロビーで参列者の流れをぼんやり眺めていた。喪服の人々が静かに一列に並び、声を潜めて頭を下げ合う。空気が重く、照明まで沈んで見える時間だった。

そこへ、明らかに浮いた声が差し込んできた。

「久しぶり〜」

振り向くと、義妹が手を振っていた。私は声を出す前に、視線が彼女の頭頂部で止まった。

鮮やかなピンクの髪が、ロビーの控えめな照明の下でも目に痛いほど発色している。

隣には金髪の小学生になった姪。母娘で揃って色を抜いてきたのだろうかと、一瞬ぼんやり考えてしまうほど、その並びは葬儀の場から浮いていた。

嫁として呑み込んだ言葉

義妹が四十を過ぎていることは知っている。私と同年代だ。けれどここは、夫の祖母の葬儀の会場だった。

色を落とすか、ウィッグでもまとめるか、選択肢はいくつもあったはずだ。

普段、義妹は自分の子どもにマナー教育を熱心にしてきた人だと、夫から繰り返し聞いていた。

食卓での所作、目上への挨拶、服装の場面分け。そういう話題になると、彼女は決まって眉を寄せて語っていたという。

「うちは躾に厳しいから」

口癖のようにそう言って、姪をたしなめてきたとも聞いた。

その人が、四十を過ぎて、TPOを弁えずに鮮やかなピンクで身内の葬儀に立っている。私はその矛盾の前で、上手く笑顔を作れなかった。

(私が口を出すことじゃない。けれど、子どもに何を伝えるつもりなんだろう)

嫁の立場で言えることは、ほとんどなかった。挨拶を返すのが精一杯で、口元だけ動かすような会釈で焼香の列に紛れ込んだ。

姑の沈黙が告げた家風

会場の隅では、義父母も普通に振る舞っていた。義妹の髪色について、誰も触れない。

注意する人もいなければ、揶揄する人もいない。義妹本人も、自分の姿が場にそぐわないとは微塵も思っていない様子だった。

その沈黙こそが、私には一番恐ろしかった。家族の総意でこの色を許容しているとも取れるし、誰も諫められないほど強気な人なのだとも取れる。

どちらにしても、私が結婚で踏み込んだ家には、私の常識とは違う規範が静かに流れていた。

線香の煙越しにピンクの髪を見送りながら、私は嫁としての立ち位置をどこに置くべきか、ぼんやり考えていた。

(この人とは、価値観が違いすぎる)

怒りではない、冷たい確信だった。これから法事のたびに同じ光景を見ることになるのだろう。

子どもに厳しいしつけを語る彼女が、自分の番になると平気でこの色を選ぶ。その二重基準を、私は嫁の立場で口に出すことができない。

背筋に静かな冷気が走った。距離を保つこと。それだけが、嫁の私にできる自衛だった。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.07.10(Fri)

「もう昔ほど可愛くないわね」本人の前で夫を笑う義祖母。だが、帰りの車での妻の言葉に救われた
tend Editorial Team

NEW 2026.07.10(Fri)

「これ高そうだから、私が貰っておくわね」義父の形見を奪った義姉。だが、夫の一言で決別
tend Editorial Team

NEW 2026.07.10(Fri)

「あなたのおばあちゃん、バツイチなのよ」中2の娘に失礼な話をする大叔母。我慢出来なかった母の言葉とは
tend Editorial Team

RECOMMEND

2025.12.12(Fri)

「おめでとう」と私の結婚を祝福してくれた親友。だが、ご祝儀袋を開けると中身が空だったワケ【短編小説】
tend Editorial Team

2026.01.22(Thu)

「これはガチっぽい」「ほんと怖いね…」と驚きの声も。ノッコン寺田、散歩中に不審者が妻に暴言を吐き、警察が出動する事態に
tend Editorial Team

2026.02.04(Wed)

「子供がかわいそう」一夫多妻の末路は全財産11万円の車中泊…渡部竜太氏の家族崩壊に『無責任すぎる』『自業自得』と批判殺到
tend Editorial Team