「赴任先で1人寂しいだけだから」毎月帰省してくる単身赴任の夫。だが、息子の誤操作で開いた写真の幼子に凍りついたワケ
毎月律儀に帰ってくる単身赴任の夫
結婚15年目、子どもは小学校中学年の息子が1人いる。
夫の単身赴任が決まったのは3年前で、地方の支社に異動してからは月1度の帰省を律儀に守ってくれる人だった。
電車で片道4時間の距離を、金曜の夜に発って日曜の夕方まで一緒に過ごす。お土産は毎回違うご当地物で、息子の誕生日も結婚記念日もスケジュールを合わせて戻ってきた。
電話の頻度が少ないことを少し気にした時期もあったが、本人は飲み会の付き合いが多いだけだとあっさり笑っていた。
「赴任先で1人寂しいだけだから」
そう言われると、こちらも追及する材料がない。
私はその言葉をそのまま信じて、地元で家を守る方に集中していた。
春の土曜の朝、夫がソファで新聞を読みながらうたた寝を始めた。息子が「ゲームしたい」と夫のスマホを欲しがり、夫は寝ぼけ眼でロック解除だけして手渡した。
私は台所でコーヒーを淹れていて、しばらくは普段通りの音だけがリビングから聞こえていた。ところが数分経って、息子が眉をひそめてキッチンに来た。
「ママ、これ赤ちゃんの写真ばっかり出てくるんだけど。誰の子?」
画面の中に並んでいた別の生活
スマホを受け取ると、写真アプリが開いた状態だった。生まれたばかりの赤ん坊を抱いた夫、よちよち歩きの幼児を肩車する夫、知らないマンションのリビングで離乳食を食べさせている夫が、時系列で延々と並んでいる。
撮影日は3年前の夏から先月までびっしりで、間にメッセージアプリの相手と思しき女性の顔も挟まっていた。
先月の写真には、息子と同じくらいの男の子の七五三らしき晴れ着姿まで写っていた。コーヒーカップを置く手が止まり、自分の鼓動だけがやけに大きく聞こえた。
月1度の帰省で見せていた疲れた顔は、家族2軒分のスケジュールを回していた疲れだったのだと、今になって意味が繋がってしまう。
息子には「これはパパのお仕事の知り合いの子だから、もう閉じてね」とだけ告げてスマホを取り上げた。
3年。月に一度こちらに戻ってくる夫は、残りの3週間を完全に別の家族の父親として過ごしていた。律儀な帰省も、お土産も、記念日の電話も、そちらの生活を隠す精度を上げるための演技だったと考えれば全部辻褄が合ってしまう。
ソファで寝息を立てる夫の顔を見て、背筋に水を流されたような寒さが走った。気づかせない技術が3年もったという事実が、何より怖い。
スマホは充電器の上に戻し、その日のうちに別端末でフォルダごと保存した。子どもの前で取り乱すわけにはいかない。次の月、夫が「いつも通り」帰ってくるそぶりを見せたら、その瞬間にこちらから動くと決めた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














