「いい加減にしろ!もう寝ろ!」子供を思わず怒鳴ってしまった夫。だが、妻の一喝で心を入れ替えた
守れなかった約束
夫婦で、ひとつ決めごとをしていた。
「当選は見送ろう。量販店のポイントで買った方がお得だし」
ゲーム機の新型が公式抽選で当たったものの、家計を考えてそうしようと妻と話し合った。
子どもには内緒にする、それも約束のうちだった。守れていれば、何も起きなかったはずだ。
その夜、息子とゲームをしていた私は、調子に乗ってこう漏らした。
「ゲーム当選してたけど見送ったんだよ」
「えっ!なんで!買ってよ、欲しい!」
息子の食いつきは予想以上だった。当たったという事実だけが頭に残って、見送った理由なんて耳に入らない。
「だから、それには大人の事情があってだな」
「ずるい!当たったのに!」
説明すればするほど、息子の機嫌は悪くなっていった。
妻が放った一言
ぐずる息子を前に、私の語気はだんだん荒くなった。元はと言えば自分の失言なのに、その自覚から目を逸らしていたのだ。
なだめる言葉も浮かばず、ただこの場をどうにか収めたい一心だった。
「いい加減にしろ!もう寝ろ!」
怒鳴りつけてしまった。息子の目に涙がたまる。そのとき、リビングのドアが開いた。
「やめて」
妻だった。静かだが、有無を言わせない声だった。
「秘密を漏らしたのはあなたでしょ。この子は何も悪くない」
胸を突かれた。何か言い返そうとして、言葉が見つからない。
「自分で約束破っておいて、子どもに当たるの?それ、おかしいよね」
ぐうの音も出なかった。妻の言うことは、一から十まで正しかった。
叩き起こされた朝
「……でも、その」
「でも、何?」
「……いや、悪かった」
言いかけては飲み込み、を三度繰り返した。妻はじっと私を見ている。私は気まずさに耐えきれず、その場から退散した。
「もう寝る」
そう言って寝室に逃げ込み、布団を頭からかぶった。けれど目は冴えるばかりだ。
泣いていた息子の顔、まっすぐな妻の目。思い返すほど、自分が情けなくなる。当てつけのように怒鳴ったあの一瞬が、何度も頭の中で再生された。
「明日、ちゃんと謝ろう」
暗い天井に向かって、小さくそう呟いた。
翌朝、布団を勢いよく剥がされた。
「起きて。今日、家族でお出かけする約束だったでしょ」
妻の顔に、昨夜の怒りはもうなかった。私はのろのろ起き上がり、ふてくされた息子の隣に座る。
「昨日はごめんな。パパが約束を破ったのが悪かった」
頭を下げると、息子はしばらく黙ってから、ぼそっと「うん」と答えた。
妻はそれを見届けると、無言で車のキーを掴んだ。その背中に、私はもう何も言い返せなかった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














