「当たり前だろ、なんで疑うんだよ!」残業と出張で忙しいと言っていた彼。だが、知人が明かした事実に結婚をやめた
増えていく外出
結婚を前提に付き合って、何年か。
彼との将来を、当たり前のように思い描いていた頃だった。
変化に気づいたのは、些細なことからだった。
彼の外出が、急に増えたのだ。
「残業と出張で忙しいんだ」
口ぐせのように、彼はそう言うようになった。
休日にも、急な予定が入る。スマホを伏せて置く回数も、明らかに多くなっていた。
きっかけは、少し前に偶然目にした通知だった。
知らない相手からの「また会いたい」という一文。仕事だろうと思おうとしても、その後の彼の様子が、引っかかりを大きくしていった。
問い詰めれば、すぐに言い逃れされる。そう感じた私は、あえて何も言わず、彼を泳がせて観察することにした。感情をぶつける前に、確かな事実がほしかった。
届いた目撃情報
「今夜も残業だから、先に寝てて」
「うん、無理しないでね」
笑顔で送り出しながら、私はその日付を頭に刻んだ。
嘘は重ねるほど、どこかでほつれる。私は静かに、その時を待った。
数週間がたったある日、共通の知人から思いがけない連絡が入った。
私と彼、どちらとも長い付き合いのある人だった。
「言うか迷ったんだけど……彼、女の人と二人でいたよ」
場所も時間も具体的だった。それは、彼が「出張」と言っていた日と、ぴたりと重なっていた。
取り乱しはしなかった。むしろ、ばらばらだった違和感が、一本の線につながった気がした。長く私たちを見てきた人の証言という確かな事実が、ようやく手に入ったのだ。
立場が変わった朝
翌朝、私は落ち着いて彼に切り出した。
「出張だったあの日、本当に出張だった?」
「……当たり前だろ、なんで疑うんだよ!」
「あなたが女の人と一緒にいたって、知ってる人から聞いたの」
彼の顔が、はっきりとこわばった。
「人違いに決まってる」
「私たちを昔から知ってる人が、はっきり見たって言ってるよ」
その名前を出した途端、彼は言葉に詰まった。
「出張」「人違い」と並べていた言い分が、証言の前でみるみる崩れていく。最後には、何も言い返せず黙ってしまった。
「結婚の話は、ここで終わりにするね」
いつも余裕のあった彼が、顔を青くして引き留めようとする。けれど私の気持ちは、もう動かなかった。
「ちゃんと確かめてから決めて、本当によかった」
彼はうつむいたまま、何度も言いかけては口を閉じた。結婚の二文字は、その朝静かに消えた。慌てず証言を待ったあの選択が、いちばん自分を守ってくれたのだと、今でも思っている。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














