「これ、賞味期限まだ三日前よ」倹約家な義母。だが、皿代わりに出された容器に絶句
孫に出された一皿
義実家へ行くと、子どもが先に食卓へついていた。
小さな手の前に置かれた皿を見て、私は思わず立ち止まった。
それは食器ではなかった。
何度も洗って使い込まれた、納豆の空き容器だったのだ。
「義母さん、子どもの分、こっちのお皿に…」
「もったいないでしょ。洗えばちゃんと使えるんだから」
義母は迷う様子もなく言い切った。結婚して十五年、関係はずっと良好だ。
義母は私にやさしく、これまで大きな衝突もなかった。
それでも、この家に来るたびに私は同じ場所でつまずく。
家の中はいつも薄暗い。昼でも電気はつけない。窓からの細い光だけを頼りに、義母は淡々と料理を運んでくる。
輪郭のぼやけた台所で、影だけが静かに動いていた。
期限切れの食卓
並んだ小鉢の脇に、開封済みの惣菜パックがあった。印字された日付に目をやって、私の喉が鳴った。
「これ、もう期限が…」
「これ、賞味期限まだ三日前よ」
三日前。
とっくに過ぎている。
けれど義母にとって、それは「まだ食べられる」の範囲なのだ。
「ちょっとくらい平気。捨てるほうがもったいないもの」
笑顔のまま言う義母に、私は何も返せなかった。
日付を指摘したところで、その笑顔が曇るだけだとわかっていたからだ。
子どもの口に運ばれていく食事を、私はただ見守るしかなかった。
(悪気がないからこそ、止められない)
孫への贈り物も、いつも誰かのお下がりかもらい物だ。
新品を買うという発想がそもそもない。それを愛情だと信じている義母の顔は、どこまでも穏やかだった。
帰り際、私は持たされた袋の中身をそっと確かめた。やはり期限の過ぎた瓶詰めが入っていた。
「いつもありがとうございます」
声は出せても、笑顔は作れなかった。
優しい義母を嫌いになれない分だけ、この隔たりは深く、冷たい。
薄暗い廊下を抜けて外に出た瞬間、ようやく息ができた気がした。明るい外の光がまぶしくて、目を細めた。背筋に残った寒気は、それでもしばらく消えてくれなかった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














