「まったく、若いお嫁さんは困るわ」お盆に一人こき使われる嫁→「うちは二人でやってるよ」と夫が伝えた結果
汗だくの給仕係
お盆の帰省で、私はうだるような暑さの台所に一人きりだった。
親戚が大勢集まる本家で、料理と片付けを一手に引き受けさせられていたのだ。
涼しいリビングからは、男性陣の笑い声が絶えず聞こえてくる。
私が大皿を抱えて往復するたびに、飲み物の追加を命じられた。
料理を運び終えたそのとき、赤い顔をした親戚の叔父が、空になったグラスを掲げて怒鳴った。
「ビール足りない、気が利かん」
謝りながら冷蔵庫へ走る私を、義母が横目で見て嫌味を重ねる。
「まったく、若いお嫁さんは困るわ」
夫はどこにいるのだろう。そう思って探すと、夫もまた輪の中でくつろいでいるように見えた。
心細さと悔しさで、胸の奥がずんと重くなった。
スポンジを置いた夫
山のような食器を前に、私は黙々と手を動かし続けた。慣れない台所で、どの皿がどこに戻るのかもわからず、汗が背中を伝う。
指先はふやけ、腰も重い。せめて夫が一言気にかけてくれたら、それだけで救われるのに。そんな思いばかりが募っていった。
ふと顔を上げると、いつの間にか夫が台所の入り口に立っていた。
一人で汗を流す私の姿と、リビングでくつろぐ親戚たちを、夫は交互に見比べていた。
その顔から、ゆっくりと笑みが消えていく。
夫は台所に入ってくると、私の手からスポンジを取り上げた。
そして、リビングに届く声で、きっぱりと言い放った。
「うちは二人でやってるよ」
ざわめいていた部屋が、水を打ったように静かになった。
叔父はグラスを持ったまま固まり、義母は目を見開いたまま言葉を失っている。
「今の時代、嫁だけに全部押し付けるのはおかしいよ。俺も手伝うし、それが普通だろ」
その落ち着いた口調に、誰も言い返せなかった。
変わった本家の空気
夫は袖をまくると、私の隣で当たり前のように皿を洗い始めた。その背中を見て、若い親戚たちがぽつぽつと立ち上がる。
「俺も運びます」と、従兄弟の一人が空いた皿を下げ始めた。
さっきまで大声で命じていた叔父も、決まり悪そうに視線を落とし、自分のグラスを自分で下げた。
義母はしばらく黙っていたが、やがて小さな声で「……手が足りないなら、言ってちょうだいね」とだけこぼした。いつも堂々としていた人の、初めて見る引き際だった。
それからの帰省では、台所に私一人が取り残されることはなくなった。
男性陣も自然と席を立ち、片付けを分け合うようになった。
「ずいぶん賑やかな台所になったわね」
義母がそう言って笑うようになったのは、あの日、夫が本家の空気ごと塗り替えてくれたおかげだ。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














