「勝手に来るだけだから」増え続ける猫に悩んだ私。3か月後、ノートを持って市に相談した結果とは
ノートに数を書きはじめた
夜十時ごろ、二階の窓から通りを見下ろすのが日課になっていた。
植え込みの陰に一匹、電柱のそばに二匹。
見かけた猫の数を、日付と一緒にノートへ書いていく。
「今日は何匹いた?」
「八匹。先週より増えてる」
娘が寝たあと、夫も心配そうにノートをのぞきこんだ。庭の花壇は何度も掘り返され、朝、玄関を開けたときのにおいにも悩まされていた。
ただ「猫が多くて困っている」と言うだけでは、状況をうまく説明できない気がした。そこで私は、頭数だけでなく、猫がどちらへ向かっていくのかも見るようになった。
何日か続けていると、夜になると数匹がほぼ同じ方向へ歩いていくことに気づいた。ある晩、少し距離をあけて後ろからついていくと、角を二つ曲がった先の家の前で猫たちが集まった。
門灯の下には、皿が三つ並んでいた。乾いた餌が盛られ、その横には水の器も置かれている。
その後も何度か様子を確かめたが、皿には餌が入っていた。
迷った末、私はその家を訪ねた。
「すみません。この辺り、最近猫がかなり増えていませんか」
「ああ、よくいるね」
「こちらの前に餌のお皿が置いてあるのを見たんですけど……」
すると、その家の男性は少し眉を上げた。
「餌はやってないよ。勝手に来るだけだから」
足元には、いつもの皿が置かれていた。それ以上話しても難しそうで、私はその日は帰った。
三か月ぶんの記録を持って相談した
それからも猫の数、時間、向かう方向を記録し続けた。
気づけば、「餌はやってない」と言われてから三か月がたっていた。
猫が減る様子はなく、自分たちだけではどうにもできないと思い、市の担当窓口へ相談することにした。
電話口で事情を話すと、担当者から聞かれた。
「何か記録は残っていますか?」
「あります。毎晩見かけた数と時間、それから猫が向かっていく方向も書いています」
「分かりました。一度、状況を確認させてください」
後日、職員が来て、家の周りの花壇の状態やにおい、猫が集まる時間帯について確認してくれた。そのあと、餌が置かれていた家にも話を聞きに行った。
詳しいやり取りまでは分からない。ただ、外で猫の世話をする場合には、周囲への配慮や不妊去勢なども含めて考える必要がある、という説明をするとのことだった。
その後、家の前に並んでいた餌の皿は見かけなくなった。
数日後、向かいの奥さんが門の前で声をかけてきた。
「あそこに集まってたのね。うちもずっと困ってたの」
「うちだけじゃなかったんですね」
それから少しずつ、夜に集まる猫の数は減っていった。
ひと月ほどたったころ、塀の上に耳の先がV字にカットされた猫が座っているのを見かけた。不妊去勢手術を受けた猫につけられる印だと聞いていた。
誰が、どのように対応したのかまでは分からない。それでも、以前のように何匹もの猫が列になって歩く光景は見なくなった。
その夜、私は三か月以上書き続けたノートを閉じた。
感情のまま訴えるより、いつ、どこで、何が起きているのかを残しておいたことが、状況を伝える助けになったのだと思う。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














