「子どもが走るのは当たり前でしょ!」深夜まで響く足音に開き直った上の階の親→時間帯を記録した私の一手
眠れない夜の限界
上の階に新しい住人が越してきたのは、私がこのマンションで暮らして半年が過ぎた頃だった。はじめは、どんな人だろうと軽く思う程度だった。
けれど毎晩10時を回ると、頭の上でドタドタと子どもが走り回る音が始まる。家具を引きずるような重い音は、日付が変わっても止まる気配がなかった。
眠りは細切れになり、朝起きても体がだるい。生活のリズムはすっかり狂い、日中もぼんやりと過ごす時間が増えていった。それでも「子育て中なら、多少騒がしいのも仕方ない」と、何か月も自分に言い聞かせてきた。
とうとう我慢が限界に来て、私は一度だけ上の階を訪ねた。ドアを開けた住人は、こちらが口を開く前に、開口一番こう言い放った。
「マンションだから我慢して」
「子どもが走るのは当たり前でしょ!」
神経質すぎるのだと、一方的にまくし立てられた。頼みに行ったはずの私のほうが、いつの間にか悪者にされていた。ドアはぴしゃりと閉められ、廊下にはやり場のない怒りだけが残った。
時間帯を記録した私の一手
感情でぶつかっても、この人には勝てない。そう悟った私は、静かに手を動かすことにした。
足音が始まった時刻と、ようやく収まった時刻。日付ごとに一行ずつ、几帳面にノートへ書き出していった。眠れない夜が、そのまま動かぬ証拠に変わっていく。
午後10時14分、10時38分、そして日付が変わっても続いた0時過ぎ。書き出した時刻の列を眺めるほど、これは私の思い過ごしなどではないと確信が深まっていった。
スマホで拾える範囲の音も録音した。数週間分がまとまるころには、ノートは日付でびっしりと埋まっていた。それをそろえて、管理会社にあらためて提出した。
担当者は資料をめくる手を止めて、目を見張った。
「ここまで具体的な記録があるのは初めてです」
そう言って、該当の世帯へ個別に注意を入れてくれた。
夜間の音への配慮も、あわせて伝えてくれたという。ただの苦情ではなく、動かしようのない事実として届いたのだ。
変化はすぐに現れた。あれほど響いていた深夜の足音が、ある夜を境にぱたりとやんだのだ。
久しぶりに、朝までひと続きに眠れた。天井をびくびく気にせず布団に入れる時間が、こんなにも穏やかなものだったのかと、しみじみ感じた。
後日、ゴミ捨て場で上の階の住人とすれ違った。あの日の勢いはどこにもない。私に気づくと一瞬固まり、目も合わせないまま、足早に去っていった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














