「そのペン、私も買ったんだ」持ち物を全部真似する同級生。だが、私が仕掛けた罠に言葉を失った
持ち物が、いつも同じになる
学生の頃、私の持ち物をことごとく真似する同級生がいた。
ノートも、ペンケースも、気づけば私と色違いでお揃いになっている。
髪を切れば同じ長さに、染めれば同じ色に。まるで、私になろうとしているみたいだった。
新しい消しゴムを買えば、次の日には彼女の筆箱にも同じものが入っている。
私が好きだと言った歌手も、行きたいと話したお店も、口にしたそばから彼女の好きなものになっていく。偶然で片づけるには、あまりに正確すぎた。
「私たち、趣味が合うね」
「……そうかな」
「これからも、お揃いにしようね」
そう言われるたびに、背中がぞわりとした。
合わせているのは、いつも彼女のほうなのだから。
そのうち、細かい持ち物が少しずつ消えるようになった。
お気に入りのペン、ヘアピン、小さな鏡。気のせいだと思いたかったが、なくなるのは決まって、彼女と会った日ばかりだった。
ペン一本、ヘアピン一つ。消えるのはいつも、なくても困らない小物ばかりだった。
ところが数日すると、なくなったはずのその品を、彼女がさも自分の物のように使っている。
同じことが、何度も繰り返された。
だから私は、こっそり対策を始めた。
自分の文房具の内側に、油性ペンで小さく印をつけておいたのだ。
ある日、彼女が家に遊びに来た。
その帰り、机の上にあったはずのペンが、また一本、消えていた。
ペンの内側の、消えない印
翌日、教室で彼女は、私のものと同じペンを堂々と使っていた。
「そのペン、私も買ったんだ」
にこにこと、彼女は言う。悪びれる様子は、少しもなかった。
「へえ。じゃあ、キャップの内側、見てもいい?」
私がそう言うと、彼女の笑顔が固まった。
キャップを外すと、内側には私がつけた印が、くっきりと残っていた。
油性ペンで書いた、小さな星のしるし。
私にしか分からない場所に、確かに残っている。同じペンを買っただけなら、こんなものがあるはずもない。
「……なんで、そんなところに」
それきり、彼女は言葉を失った。顔は青ざめ、手にしたペンを握ったまま、動けなくなっている。
やりとりを見ていた隣の席の子が、静かに口を開いた。
「そのペン、ずっとあなたのだったよね」
教室のざわめきが、ぴたりとやんだ。
「返してくれたら、もう何も言わないよ」
私は手を差し出した。彼女はうつむいたまま、ペンをそっと私の手のひらに戻した。
同じになりたかったのかもしれない。でも、人の物を奪ってまで近づいてくる相手と、これ以上友達ではいられなかった。
それから彼女は、私の真似をぴたりとやめた。持ち物も、髪型も、二度と重なることはなかった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














