「今日も残飯処理か」と弁当のおかずに嫌味を言う父。母が箸を置いて告げた一言に、父が小声で謝った夜
少なくても多くても文句の弁当
父は、おかずが少ないと毎回ため息をつきます
我が家では、父が毎日お弁当を持って出勤します。
中身は前の晩の夕飯のおかずを詰めたもので、それが我が家の暗黙の決まりになっています。
ところが、おかずが少なく残った夜になると、父は決まって肩を落とします。
「明日、弁当に持っていける物が何にも無いな。」
大げさなため息をついて、家族みんなに聞こえるように言うのです。
美味しいねと笑い合っていた空気は、その一言でしぼんでしまいます。
夕飯を食べるだけなのに、翌日の弁当の量まで考えなければならないなんて、おかしな話です。
私はいつもそう思いながら、黙って箸を動かしていました。
多めに作っても、父は残飯処理係だと嫌味を言います
そこで母は、翌日の弁当の分も考えて、大皿におかずをたっぷり盛る日を作りました。
ところが、弁当の分を除いても余ったおかずが翌日の食卓に並ぶと、今度は別の文句が飛び出します。
「どうせ俺は残飯処理係だから。」
箸の先でおかずをつつきながら、ねちねちと続けます。少ないと文句を言い、多くても文句を言う。
母はそのたびに何も言わず、静かに片付けをしていました。毎日の献立を考えているのは母なのに、ねぎらいの言葉はありません。
そばで見ている私のほうが、胸のもやもやを抑えきれなくなっていきます。
箸を置いた母の一言
ある夜、母が箸を置いて、いい加減にしてと言いました
そして、ある夜のことです。いつものように少し多めに残ったおかずが、食卓に並びました。父はそれを見るなり、いつもの調子で口を開きます。
「今日も残飯処理か。」
その瞬間、母が箸をぴしっと置きました。小さいけれど、はっきり響く音でした。父は肩をびくりと揺らします。
「いい加減にして。」
普段は温厚な母の、聞いたこともない低い声でした。食卓の空気がぴんと張り詰めて、私は箸を持ったまま動けませんでした。
母に言い返せず、父は小さな声で謝りました
「少ない日はため息、多い日は残飯扱い。毎日あなたの弁当のことまで考えて、献立を決めているのよ。」
「いや、俺は別に……」と父が何か言いかけても、母は止まりません。
「文句があるなら、明日から自分で作りなさい。」
母はさらに続けます。
「それか、コンビニで買いなさい。」
父は言い返せず、目を白黒させるばかりです。そして、蚊の鳴くような声で言いました。
「……ごめんなさい。」
その日を境に、父がおかずの量に文句を言うことは一切なくなりました。普段は穏やかな母の、頼もしさと怖さを同時に思い知った夜でした。何年も胸にたまっていたつかえが取れて、私は心の中でそっとガッツポーズをしました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














