「ご飯の皿も、疲れてるから無理」皿一枚すら運ばなかった夫。数日後、自分から洗い出した理由
ソファから動かない夫
結婚して1年、共働きの休日の夕方はいつも同じ景色だった。
私は台所でカレーを煮込み、夫はソファでスマホを見ている。玉ねぎを炒める音も、鍋がふつふつと鳴る音も、彼には届いていないらしい。
「たまにはお皿くらい運んでくれる?」
夫は画面から顔を上げずに答えた。
「ご飯の皿も、疲れてるから無理」
疲れているのは、朝から掃除と洗濯を回してきた私も同じだ。それでも皿を運び、スプーンを並べ、水を注いだ。夫はテーブルに着いた瞬間だけ、機嫌よく「うまそう」と言った。
食器はそのまま。食べ終わると、また同じ場所に戻っていく。シンクの中で、カレーのこびりついた皿が重なっていった。
水に浸けておかなければ、あとで落ちなくなるのは私だけが知っている。
スポンジを握ったまま、私は振り返って言った。
「じゃあ今日からあなたの洗濯物とご飯は、自分でお願いね」
「あー、はいはい」
本気にしていない顔だった。
シャツが尽きた朝
翌日から、私は自分の分だけを回した。
食卓に並ぶのは一人前。洗濯機に入れるのは私の服だけ。夫の脱いだ靴下は、脱衣所の床に転がったままになった。
「今日、俺の分は?」
「自分でお願いね、って言ったよ」
最初の2日、夫はまだ強気だった。
コンビニ弁当を買ってきては「これで十分」と笑っている。
3日目には財布にレシートが溜まり、4日目に「毎日弁当は飽きた」とこぼした。
3日分のレシートを数えたら、4,000円を超えていた。
そして5日目の朝、クローゼットの前で夫が固まった。
「…着るシャツが、一枚もない」
洗濯かごの中で、シャツはしわのまま山になっていた。夫はその中から一番ましな一枚を引っ張り出して、そのまま出勤していった。
その日の夜、帰ってきた夫の顔色が悪かった。
「同僚に、そのシャツどうしたんだって笑われた」
言いながら鞄を置いて、そこで言葉が止まる。
テーブルには、私の分だけの茶碗が置いてあった。夫はしばらくそれを見つめて、それから小さく息を吐いた。
「……ごめん。これからは俺もやる」
「うん。半分ずつね」
私は手を止めずに、それだけ返した。
その週末、夫は初めて洗濯機の説明書を読んでいた。今では食器洗いは夫の担当で、洗濯物も気づけばベランダに干してある。畳み方は雑だけれど、そこに文句は言わない。
先日、ソファで休んでいた私に、夫が皿を重ねながら声をかけた。
「そっちは座ってて。疲れてるでしょ」
あの日と同じ言葉を、今度は夫のほうが使った。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














