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2026.08.05(Wed)

「ひらがななら、もう全部書けます」懇談会で課題を求めたママ友→ベテラン先生が伝えた気持ちとは

「ひらがななら、もう全部書けます」懇談会で課題を求めたママ友→ベテラン先生が伝えた気持ちとは

懇談会で挙がった手

学期末の懇談会は、保育室に椅子を並べて行われました。

担任の先生が園での様子をひととおり話し終えると、最後に質問の時間が設けられました。

そのとき、同じクラスの教育熱心なママが、まっすぐ手を挙げました。

「うちの子、ひらがなならもう全部書けるんです」

「そうなんですね。文字に興味があるんですね」

「家では毎日練習させています。園の時間が少し退屈みたいなので、できる子には別の課題を出していただけませんか」

穏やかな口調でしたが、自分の子はほかの子より先に進んでいる、と言いたいことは伝わってきました。

そのママには、送り迎えの際にも何度か声をかけられていました。

「まだ字を教えていないの?」

「早いうちに書けるようにしておくと楽よ」

私はそのたびに、「そうなんですね」と答えていました。

家庭によって考え方は違うと思いながらも、比べられているようで、どこか居心地の悪さを感じていたのです。

担任は、この園に二十年以上勤めているベテランの先生でした。

先生は少し考えてから、穏やかに口を開きました。

園でしかできない経験

「文字が書けることは、すてきな力です。好きなことは、ご家庭でもぜひ伸ばしてあげてください」

ママは満足そうに頷きました。

「ただ、園では一人ひとりに先取り学習の課題を出すことはしていません」

その言葉に、ママの表情が止まりました。

先生は続けます。

「ここでは、順番を待つことや、相手の話を聞くこと、自分たちで遊び方を考えることを大切にしています。どれも、大勢の子どもと過ごすからこそ経験できるものです」

「でも、できることを繰り返すだけでは、本人も退屈すると思うんです」

「文字については、そうかもしれません。ただ、お嬢さんにも、まだ練習していることがありますよ」

先生によると、その子は自分の希望をはっきり伝えられる一方で、遊具の順番を待てずに泣いてしまったり、友達の提案を受け入れられなかったりすることがあるそうです。

もちろん、この年齢では珍しくない姿だと先生は付け加えました。

「文字が早く書けることと、すべての面でほかの子より先に進んでいることは、同じではありません」

ママはしばらく黙っていました。

「家では、できることばかり見ていました」

先ほどまでの自信に満ちた声とは違い、小さな声でした。

「得意なことがあるのは、とてもいいことです。同時に、まだできないことがあるのも当たり前です。園では、その両方を見ながら関わっていきますね」

先生は誰かを責めることなく、そう答えて話を締めくくりました。

帰り際、そのママが私の隣に並びました。

「字が書けるから、何でもできるような気になっていたのかも」

「得意なことは、子どもによって違いますものね」

私がそう答えると、ママは小さく頷きました。

それ以降、送り迎えの際に文字の習得を比べられることはなくなりました。

代わりに、「最近、どんな遊びが好き?」と、子ども自身のことを尋ねてくるようになりました。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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