「12番Aは俺の席だ」窓側の女性に席を譲るよう迫った男性。だが、男性が黙り込んだ理由とは
「12番Aは俺の席だ」と譲らない男性
新幹線の指定席に座り、荷物を足元に置いたところでした。
しばらくすると、斜め前の席で男性が立ち止まりました。
近くにはすでに一人の女性が座っています。
男性は何度か手元の切符と座席番号を見比べたあと、女性に声をかけました。
「そこ、12番Aですよね。俺の席なんですけど」
女性は少し驚いた様子で、自分の切符を確認しました。
「私も12番Aなんですが…」
「いや、こっちにもちゃんと12番Aって書いてありますよ」
男性は自分の切符を女性に見せました。
どうやら男性は、座席番号を確認して自分の席だと思い込んでいるようでした。
女性は席を立つことなく、落ち着いて言いました。
「号車も含めて、一度確認してもらえますか」
しかし男性は、切符に印字された「12A」という部分を指します。
「ここに書いてあるでしょう。間違ってないですよ」
周囲の乗客も、何事かと二人のほうを見始めました。
車掌が確認した「もう一つの数字」
そこへ、車内を巡回していた車掌が通りかかりました。
「どうされましたか」
女性が事情を説明すると、車掌は二人の切符を受け取り、一枚ずつ確認しました。
「お二人とも、お席は12番Aで間違いございません」
その言葉を聞いた男性は、やはり自分が正しかったというように女性のほうを見ました。
ところが、車掌は続けます。
「ただし、号車が違います」
車掌が切符の号車番号を指しました。
女性の席はこの車両の12番A。一方、男性の切符に書かれていたのは、二つ先の車両の12番Aでした。
「お客様のお席はこちらではなく、二つ先の車両になります」
男性はそこで初めて、座席番号以外の部分をじっくり見ました。
数秒ほど黙ったあと、小さな声で「…そうか」とつぶやきます。
先ほどまでの勢いは、すっかりなくなっていました。
一言だけ残して、自分の席へ
「お席までご案内いたしましょうか」
車掌がそう声をかけると、男性は首を横に振りました。
そして荷物を持ち上げると、女性に向かって短く言いました。
「すみません。見間違えていました」
女性も「いえ」とだけ答えます。
男性はそのまま通路を歩き、自分の席がある車両へ移っていきました。
男性がいなくなったあと、女性は切符をもう一度確認してから、ほっとしたように座席へ深く腰掛けました。
指定席では、同じ「12番A」という席が別の号車にもあります。
座席番号だけを見てしまえば、勘違いすること自体はあるのかもしれません。
ただ、相手が「自分も同じ席です」と言った時点で、いったん切符全体を確認していれば、あれほどの押し問答にはならなかったはずです。
自分が正しいと思ったときほど、もう一度確認することの大切さを感じた出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














