「もう少し待って、2万は返す」外食写真を上げ続ける兄に、私が振込の記録を見せて全額回収した瞬間
「来月返す」で振り込んだ2万
二年前、二つ上の兄から助けを求められたことがありました。急な出費でカードの引き落としが足りない、来月には返すから、と。困っている家族を放ってはおけません。私は迷わず2万円を振り込みました。
「ありがとう、来月には必ず返すよ」
そのときの兄は、心底ほっとした声でした。だから私も、深くは気にとめていなかったのです。けれど翌月も、その次の月も、返済の話はありませんでした。こちらから尋ねるたびに、兄の答えは決まっていたのです。
「もう少し待って、2万は返す」
その言い回しが、なぜか耳に残りました。兄にとっては小さな額でも、貸したこちらはずっと覚えているのに、と。
「悪いね、来月こそなんとかするから」
その「来月」が、いったい何度巡ってきたか分かりません。督促するのもだんだん気が引けて、私はしだいに、お金の話を口に出せなくなっていったのです。
外食写真と、飲み込んだ一言
ある夜、何気なく開いたSNSで、兄の投稿が目に飛び込んできました。焼き肉、寿司、居酒屋の盛り合わせ。ほとんど毎週のように、外食の写真が並んでいたのです。日付を見れば、私が返済を切り出せずにいた、まさにその時期と重なっていました。
「週末は外でパーッと」
そんなコメントまで添えられていました。
(私の2万で食べているわけじゃ、ないんだろうけど)
頭ではそう分かっていても、写真をスクロールする指が止まりませんでした。お金がないと言いながら、これだけ食べ歩く余裕はある。その落差が、じわじわと胸に沈んでいったのです。
そのまま季節は過ぎ、母の誕生日に家族が食卓を囲みました。兄はいつも通り明るく、料理に手を伸ばしています。
「最近さ、出費が多くて大変なんだよ」
その言葉を聞いた瞬間、私はもう先延ばしにするのをやめようと決めました。感情的になっても仕方がありません。私はスマートフォンの振込履歴を開き、二年前の日付と金額を、そっと兄に差し出したのです。
「もう半年以上たってるよ。お金の貸し借りは、ちゃんとしようよ」
声を荒らげたわけではありません。それでも、はっきり残った記録の前で、兄は返す言葉をなくしていました。忘れたふりも、はぐらかしも、もう通じないと悟った顔でした。
「……ごめん。ずるずる甘えてた。今すぐ返すよ」
兄はその場でアプリを立ち上げ、二年越しの2万円を私の口座に振り込みました。母に気づかれないよう、静かに。金額そのものより、きちんと向き合えば家族でも筋は通せるのだと分かったこと。そのことが、長く胸につかえていた棘を、すっと抜いてくれたのです。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














