夜中に洗濯機を回す上の階の住人。「遅い時間に音がしていたら、すみません」と謝罪された私が思わず発した言葉とは
夜になると、天井から生活音が聞こえてきた
鉄筋のアパートに越して半年ほど経ったころ、上の階から聞こえる音が気になるようになりました。
特に多かったのは、夜遅い時間です。
掃除機をかけるような低い音や、洗濯機が回っているような振動が天井越しに伝わってきます。
テレビらしい音が聞こえる日もありました。
騒音と呼ぶほど大きいわけではありません。
それでも寝ようとして静かな部屋にいると、不意に響く音ばかりに意識が向いてしまいます。
一度気になり始めると、音が止まっている時間まで「また聞こえるかもしれない」と身構えるようになりました。
私自身も仕事から帰るのが遅く、夜に洗濯をすることがあります。
それでも眠れない日が続くと、上の階に対して少しずつ不満がたまっていました。
階段で会ったのは、上の階に住んでいる人だった
ある休日の昼、外出しようと階段を下りていると、上から一人の人が降りてきました。
顔は何度か見たことがあります。上の階に住んでいる人でした。
いつものように会釈だけして通り過ぎようとすると、相手が足を止めました。
「遅い時間に音がしていたら、すみません」
突然そう言われ、私は少し驚きました。
話を聞くと、仕事から帰る時間が遅い日があり、帰宅してから洗濯などを済ませることがあるそうです。
できるだけ気をつけてはいるものの、建物の中でどのくらい音が響いているのか分からず、気になっていたといいます。
私は、それまで感じていた不満をうまく言葉にできませんでした。
その代わりに口から出たのは、こんな言葉でした。
「うちも遅い時間に洗濯することがありますし、お互い様です」
相手は少し安心したような顔で、「ありがとうございます。でも、なるべく気をつけますね」と返しました。
ほんの短いやりとりでした。
同じ音なのに、以前ほど身構えなくなった
その日の夜も、上の階から低い音が聞こえてきました。
音そのものは、それまでと大きく変わっていなかったと思います。
ただ、「また始まった」と腹を立てる前に、昼間に会った人の顔が浮かびました。
帰宅してから家事を済ませているのかもしれない。本人も音が響いていないか気にしていた。
そう分かっているだけで、以前のように天井を見上げて身構れることが減っていきました。
もちろん、生活音なら何時でも気にしなくていいとは思いません。相手も気をつけると言っていましたし、私も遅い時間に洗濯するときは、扉を静かに閉めるなど少し意識するようになりました。
音が消えたわけではありません。
それでも、顔も事情も知らなかったころより、ずっと気持ちは楽になりました。
近所の生活音は、聞こえてくる音だけでは相手の暮らしまで分かりません。階段で交わした短い会話が、私にとってはそれを知るきっかけになったのです。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














