「店内での通話はご遠慮いただいているんです」店内で大きな声で電話する客。だが、他の客の優しい言葉とは
食事中の店内で、電話の声が聞こえた
カレーの店で働いていたころ、夜の遅い時間にこんなことがありました。
三人で食事をしていたお客様のうち、一人の携帯電話が鳴りました。
その方は画面を確認すると、そのまま席で電話に出ました。
最初は小さな声でしたが、相手の声が聞き取りづらかったのか、少しずつ声が大きくなっていきます。
店では、店内での通話は控えていただくようお願いしていました。入口にも案内を出してあります。
私は近くのテーブルを片づけたあと、その席へ向かいました。
「申し訳ありません。店内での通話はご遠慮いただいているんです」
すると、その方は電話を耳から少し離して、困ったような顔をしました。
「あ、ごめん。どこなら大丈夫?」
怒った様子はありません。電話も切れない内容なのか、相手を待たせたままこちらを見ています。
私が「入口を出ていただければ…」と案内しようとした、そのときでした。
「外ならゆっくり話せますよ。入口の横にベンチがあります」
隣のテーブルに座っていた客が、こちらを向いて言いました。
注意するような口調ではありません。さらに、「私もさっき電話がかかってきて、そこで話しました」と付け加えました。
電話中だった方は「ああ、そうなんですね」とうなずき、連れの二人に軽く手を上げてから席を立ちました。
戻ってくると、何事もなかったように食事が続いた
数分後、その方は電話を終えて店内へ戻ってきました。
席に座ると、「急な電話だったから助かった」と連れの二人に話していました。その後は、三人で普通に食事を続けています。
私は少し身構えていたのだと思います。
店の決まりを伝えると、ときには「少しくらいいいでしょう」と言われることもあります。けれど、その方は帰りの会計でも特に不満を口にしませんでした。
むしろ財布をしまいながら、こちらへ軽く頭を下げました。
「さっきはすみません。電話に出ることしか考えてなくて」
私は「いえ、大丈夫です。ありがとうございました」と返しました。
三人が店を出たあと、隣のテーブルを見ると、場所を教えてくれた客も帰るところでした。
わざわざ誰かを注意したわけでもありません。ただ、自分も使った場所を「ここなら話せますよ」と教えただけです。
それでも、その一言があったおかげで、電話に出た方も気まずそうにすることなく席を移ることができました。
注意するときは、だめなことを伝えるだけではなく、「では、どうすればいいのか」まで一緒に伝えればいい。あの日から私は、店内での通話をお願いするときには、入口の外なら大丈夫です、と続けて案内するようになりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














