「よかったら座ってください」混んだ電車で高齢男性に席を譲った学生。様子を見ていた僕が感じた気持ち
混んだ車内で、席の前に立った男性
仕事帰りの電車でのことです。車内は混んでいて、僕はドアの近くに立っていました。座席はほとんど埋まり、通路にも何人か立っています。
途中の駅から、白髪の男性が乗ってきました。男性は空いている場所を探すように車内を見回しながら、ゆっくり奥へ進んでいきます。
「すみません、通ります」
周りの人に声をかけながら座席の前まで来ると、男性はつり革につかまりました。
そのとき電車が揺れ、男性の体が少しふらつきました。僕も「大丈夫かな」と気になりましたが、少し離れた場所にいたこともあり、声をかけようか迷っているうちにそのまま立っていました。
すると、座席の端に座っていた学生くらいの男性が顔を上げました。
学生はかばんを肩にかけると、すぐに席を立ちました。
「ここ、どうぞ」
白髪の男性は驚いたように学生を見て、首を横に振ります。
「いやいや、大丈夫ですよ」
「僕はまだ先なので。よかったら座ってください」
学生がそう言うと、男性は少し迷ったあと、「じゃあ、お言葉に甘えて」と腰を下ろしました。
何度もお礼を言われた学生は
席に座った男性は、学生に向かって何度も頭を下げていました。
「ありがとうね。助かりました」
「いえ、大丈夫です」
「でも、立たせちゃって悪いね」
すると学生は少し照れたように笑いました。
「僕はまだ先なので、大丈夫ですよ」
それだけ言うと、学生はドアの近くへ移り、何事もなかったようにつり革につかまりました。
大げさに親切をアピールするわけでもなく、男性から何度お礼を言われても、少し困ったように笑っているだけでした。
僕には、その様子が妙に印象に残りました。
次は迷っているだけで終わらないように
しばらくして白髪の男性が降りる駅に着くと、男性は立ち上がり、学生のほうを振り返りました。
「さっきは本当にありがとう」
学生も軽く頭を下げます。
「お気をつけて」
男性が降りると、車内はまたいつもの雰囲気に戻りました。
ほんの短いやり取りだったと思います。それでも僕は、最初に男性を見たとき「声をかけたほうがいいかな」と思いながら、結局何もしませんでした。
学生がしたことも、席を立って一言声をかけただけです。それなのに、迷っていた僕にはなかなかできなかったことでした。
次に同じような場面に出会ったら、今度は迷っているだけで終わらず、自分から声をかけてみよう。電車を降りるまで、そんなことを考えていました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














