「うるさいんや。下まで響いとるんや」玄関まで来て怒る住人。だが、大家に相談した結果
苦情をなくしてほしいわけではありませんでした
大家さんに相談しようと決めたのは、玄関を叩く音に娘が肩をすくめたのを見た日でした。
私たち家族四人が住んでいたのは、築年数の古いマンションです。子どもが二人いるため、走ったり飛び跳ねたりすれば、下の階まで音が響いてしまいます。
実際、下の階の方から何度も苦情を受けていました。
ただ、その方はインターホンを鳴らさず、いつも玄関のドアを直接叩きました。
「うるさいんや。下まで響いとるんや」
声も大きく、そのたびに私は玄関先で頭を下げました。
「すみません。すぐ静かにさせます」
言われていること自体は間違っていません。こちらも子どもたちに注意しなければならないと思っていました。
けれど、何度か続くうちに気づいたことがあります。ドアを叩く音がすると、子どもたちが奥の部屋でぴたりと動かなくなるのです。
私が謝る声も聞こえているのでしょう。玄関から戻ると、不安そうな顔でこちらを見ていることもありました。
そこで私は大家さんに事情を話しました。
「苦情を取り下げてほしいのではありません。こちらも音には気をつけます。ただ、直接玄関に来るのではなく、間に入っていただくことはできますか」
大家さんは話を聞いたあと、「一度、三人で話しましょう」と言ってくださいました。
伝える場所を一つに決めました
次の週、大家さんのところで、下の階の方を交えて三人で話しました。
私は改めて、子どもの足音について謝りました。そのうえで伝えました。
「これから何かあったときは、玄関ではなく大家さんを通してください」
大家さんも、「私が間に入ったほうが、どんな音がいつあったのか把握できますから」と説明してくれました。
下の階の方も、しばらく黙っていましたが、最後にはうなずいてくれました。
もちろん、伝え方を変えてもらうだけではいけません。
家に戻った私は、よく走る場所に厚手のマットを敷きました。子どもたちとも「家の中では走らずに歩こう」と約束し、忘れないよう紙に書いて目につく場所へ貼りました。
完璧には守れない日もありました。それでも、以前より足音を意識するようになりました。
それから何日か経った夕方、インターホンが鳴りました。
一瞬身構えましたが、玄関を開けると立っていたのは大家さんでした。
「下の方から、前よりだいぶ静かになったと聞きましたよ」
苦情ではなく、改善したことを知らせに来てくださったのです。
廊下の奥を見ると、子どもたちもこちらを見ていました。以前のように、ドアの音に固まってはいませんでした。
その後も、ときどき大家さんを通して「昨夜は少し響いていたそうです」と伝えられることはあります。そのたびに私は子どもたちと話し、気をつけるようにしています。
騒音の問題がなくなったわけではありません。こちらが注意しなければならないことも変わりません。
それでも、直接玄関を叩かれることはなくなりました。誰かを黙らせるのではなく、伝える窓口を一つにしたことで、家の中の緊張は少しずつ和らいでいきました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














