「100倍にしておいたよ、2200円入れておいたから」財布にお札を入れた恋人。だが、私が本当に伝えたかったこととは
財布に入っていた、見覚えのないお札
買い物の会計で財布を開いたとき、入れた覚えのないお札に気づきました。
前の日に恋人がうちへ来ていたので、帰ってから聞いてみると、少し気まずそうな顔をしました。
「昨日のこと。100倍にしておいたよ。2200円、財布に入れておいたから」
発端は、買ったばかりの腕時計型の端末でした。
通話機能を試してみたくて、事情を説明しやすい恋人へ電話をかけることにしたのです。
かける前には、こう伝えていました。
「試しに鳴らすだけだから、出なくていいよ。つながると通話料もかかるし」
ところが呼び出し音が二回ほど鳴ったところで、腕元から恋人の声が聞こえてきました。
驚いてすぐに切ったものの、あとで明細を見ると、通話料として22円が記録されていました。
もちろん、22円を返してほしかったわけではありません。
私が引っかかっていたのは、「出なくていい」と伝えていたのに、どうして出たのだろうということでした。
2200円を返して、もう一度話した
恋人としては、22円のことで嫌な思いをさせたなら、多めに返せば気が済むだろうと思ったようでした。少し冗談のつもりもあったのだと思います。
でも私は、財布から2200円を取り出して返しました。
「お金のことじゃないんだよ」
恋人は少し考えてから、「じゃあ、出たこと?」と聞きました。
「うん。出ないでって言ったのに出たことが、ちょっと嫌だった」
そう伝えると、恋人はようやく納得したようでした。
「そっか。22円を気にしてたわけじゃなかったんだ」
私もその言葉を聞いて、やっと話が通じた気がしました。
恋人に悪気があったわけではありません。私も、電話に出ただけで本気で怒っていたわけではありません。ただ、こちらが伝えたことを軽く受け取られたように感じたのが、少し寂しかったのだと思います。
それ以来、端末の通話機能を試すときは、先にひと言伝えるようになりました。
すると恋人は決まって、「今度は出ないから」と笑います。
明細に残ったのは、たった22円。それでも私にとっては、お金より先に話してほしいことがあると気づいた、小さな出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














