降車ボタンを押すのが遅れて注意された私。数日後、同じ運転手がかけた一言
降りる停留所が近づいてから、あわててボタンを押した
仕事帰りによく使っているバスでのことです。
その日は座ることができ、私は窓の外をぼんやり眺めていました。
降りる停留所が近づいたところで、降車ボタンを押していないことに気づきました。
あわてて手を伸ばしましたが、バスはすでに停留所のすぐ手前まで来ています。
ボタンの音が鳴ると、運転手から声がしました。
「はい、停まります」
バスはそのまま停留所に停まりました。私は急いで降車口へ向かいましたが、ドアが開く前に運転手から声をかけられました。
「もう少し早めに押してください。バスは急には止まれませんので」
言われていることは分かります。
ただ、その日は少し強い口調に聞こえ、そのあとも短く注意が続きました。
私も押すのが遅かったのは事実です。
そこで言い返すことはせず、「すみません、次から気をつけます」とだけ答えました。
ドアが開き、私はそのままバスを降りました。
別の乗客も、同じように押すのが遅れた
それからも私は同じ路線を使い続けました。降りる停留所の案内が流れたら、忘れないうちにボタンを押すようにもなりました。
何日かたった夕方、また同じ運転手のバスに乗りました。
途中で、前のほうに座っていた乗客が降車ボタンを押すのを忘れていたようです。
停留所が近づいてから、あわててボタンを押す音が車内に響きました。
以前のことを思い出し、私は少しだけ身構えました。
しかし、その日、運転手は何も言いませんでした。
バスを停めてドアを開け、乗客は小さく会釈して降りていきました。
次の停留所で降りるのは私でした。
運賃を支払い、降車口へ向かうと、運転手が一度こちらを見てから静かに言いました。
「この前はこちらも言いすぎました」
きちんとした謝罪というより、以前のやり取りを覚えていてくれたのだと思います。
「いえ、こちらこそ。気をつけます」
そう返すと、運転手は小さくうなずきました。
それだけのやり取りでしたが、私は少し気持ちが軽くなりました。
あの日、こちらも感情的に言い返していたら、同じバスに乗るたびに気まずさが残っていたかもしれません。
今でも私は、降りる停留所の案内が流れると早めにボタンを押します。あの一件以来、それがすっかり習慣になりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














