「お客さんなんだから、座ってて」と言った義母。しかし食事中は妻にばかり用事を頼み、見かねた夫が動いた結果
「お客さんだから」と言われたはずなのに
日曜日、妻と二人で義実家へ行ったときのことです。
親戚が集まるから来てほしいと、義母から電話があったのです。
玄関には見慣れない靴が並び、座敷では妻の叔父がすでに瓶ビールを開けていました。
妻は台所をのぞき、義母に声をかけました。
「何か手伝いましょうか?」
すると義母は、笑顔で手を振りました。
「いいのよ。お客さんなんだから、座ってて」
ところが、食事が始まると様子が変わりました。
空いた食器を下げるのも、足りなくなった取り皿を用意するのも妻です。義母が妻の名前を呼ぶたびに、妻は箸を置いて立ち上がっていました。
「ちょっと、お茶を入れてくれる?」
妻は「はい」と返事をして、急須を持って台所へ向かいました。
ようやく戻ってきた妻が席に着き、箸を持とうとしたところで、また義母から声がかかります。
「あ、お茶を入れて」
「……はい、わかりました」
妻はもう一度立ち上がりました。さっきお茶を入れたばかりなのに、自分の食事をゆっくり楽しむ暇もありません。
「若い人が動いたほうが早いからね」
「こういうときは娘が手伝うものよ」
義母は笑いながらそう言い、周りの親戚も相づちを打っていました。
最初はお客さんだから座っていてと言っていたのに、結局、妻だけが忙しく動き回っています。
その様子を見ていた私は、だんだん黙っていられなくなりました。
妻の手から食器を受け取った私
しばらくして、妻が空いた食器を重ねて立ち上がりました。
私は箸を置き、妻の持っている食器に手を伸ばしました。
「こっちは俺が持つよ」
「えっ、いいよ。私がやるから」
「いいって。少し座って食べなよ」
妻は驚いた顔をしていましたが、私は食器を受け取り、そのまま台所へ運びました。
水を張った桶に食器を入れ、座敷へ戻ったときです。
私は義母たちに聞こえるように、少し笑いながら言いました。
「うちは家でも二人でやってますから。俺もやりますよ」
その瞬間、にぎやかだった座敷の話し声がふっと途切れました。
叔父が瓶を置き、義母もこちらを見ています。
私はそれ以上何も言わず、急須にお湯を足して、湯のみを盆に並べました。
「はい、どうぞ」
「あら、ありがとうね」
「熱いので、気をつけてください」
順番にお茶を配っていると、義母が少し間を置いて口を開きました。
「あら、そう」
それだけ言うと、義母は座り直して自分のお茶を飲み始めました。
すると、今度は親戚の一人も立ち上がり、空いた大皿を重ねて台所へ運び始めました。
「醤油、もう一本ありますか?」
「下の戸棚に入ってるよ」
そんなやり取りをしながら、ほかの親戚も少しずつ動くようになりました。
妻はようやく席に座ったまま、残っていた料理に箸を伸ばしています。親戚の女性が妻の湯のみにお茶を注いでくれました。
帰りの車の中で、妻はシートに背中を預けながら笑いました。
「今日、ちゃんと座って食べられた。初めてだったかも」
「そっか。次は最初から俺も動くよ」
「ふふ。じゃあ、次はお茶係よろしくね」
「はいはい、任せて」
私も笑って答えました。
大げさなことをしたつもりはありません。ただ、親戚が集まる食事会なのだから、妻にもゆっくり食事を楽しんでほしかったのです。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














