tend Editorial Team

2026.09.24(Thu)

「えっ、これっていいのか?」イチゴ2パックを開けて大粒だけを詰め替える客。だが、青果売り場の店員が静かに伝えた正論

「えっ、これっていいのか?」イチゴ2パックを開けて大粒だけを詰め替える客。だが、青果売り場の店員が静かに伝えた正論

母に頼まれたケーキ用のイチゴ

日曜の昼すぎ、出かけようとした僕に、母が台所から声をかけてきた。

翌日は姉の誕生日で、手作りのケーキにイチゴをのせるという。

「帰りにイチゴを買ってきて。できれば形のきれいなのを選んでね」

「わかった。1パックでいいんだよね」

夕方、帰り道のスーパーに寄った。入口近くの青果売り場へ向かい、イチゴが並ぶ平台の前まで来たところで、思わず足が止まった。

40代くらいの女性客が、2つのイチゴのパックを開けていたからだ。

片方から大きくて形のそろった粒を取り、もう片方へ移している。どうやら、中身を入れ替えながら自分の好みの1パックを作っているようだった。

(えっ、これっていいのか…?)

女性客は周囲を気にする様子もなく、さらに別のパックへ手を伸ばしかけた。

品出しに来た店員さんが足を止めた

そのとき、段ボールを抱えた50代くらいの男性店員が、倉庫の扉から平台の前へやってきた。

店員さんは女性客の手元を見ると、段ボールを足もとに置いた。

「お客様、申し訳ありません。パックの中身の入れ替えはご遠慮いただいております」

女性客は手を止めたものの、すぐに答えた。

「ちょっと見てただけです。ちゃんと買いますから」

店員さんは声を荒らげることなく、もう一度伝えた。

「ありがとうございます。ただ、お選びになる際はパックごとでお願いいたします」

近くでトマトを選んでいた年配の男性も、一度だけこちらへ目を向けた。

女性客はしばらく黙っていたが、やがて手にしていたパックを平台へ戻した。

店員さんはそこで、開けられていた2パックをまとめて手に取った。

「こちらは売り場から下げますね」

女性客は何も言わず、今度は未開封のパックを1つかごに入れると、その場を離れていった。

売り場から下げられた2つのパック

店員さんは開けられた2パックを段ボールの上に置き、崩れていた売り場を静かに並べ直していった。

僕も並んでいる中から、粒の大きさがそろった1パックを選んだ。

家に帰ると、母が台所でスポンジケーキを冷ましていた。

「おかえり。イチゴ、あった?」

「あったよ。でも売り場で、中身を詰め替えてる人がいてさ」

「えっ、パックを開けて?」

「うん。店員さんが気づいて、ちゃんと止めてた」

僕が見たことを話すと、母は驚いた顔でイチゴのパックを受け取った。

「それはびっくりするね。店員さんが気づいてくれてよかったね」

そう言いながら、母はフタ越しにイチゴを眺めた。翌日のケーキには、僕が選んだその1パックを使うことになった。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.11.09(Mon)

「返せないなら、そう言ってほしかった」お金を借りたまま既読無視した兄。だが、両親に事情を話した結果
tend Editorial Team

NEW 2026.11.09(Mon)

「予約制の駐車場とか、ケチくさいなー」と居座る男。黒い水を浴びた新車の横で、管理人さんが貼り紙を指さした日
tend Editorial Team

NEW 2026.11.09(Mon)

「最初に『来月返す』と言われてから、もう何か月も経っていますよ」お金を返さない親戚に、法事の席で伝えた結果
tend Editorial Team

RECOMMEND

2025.10.08(Wed)

壮絶な事故から1年半、三崎優太が明かす後遺症の苦悩「事故の後遺症と今も戦っています」
tend Editorial Team

2026.05.23(Sat)

やす子発信のコンビニトイレ利用マナー論争、手ぶら退店は不法侵入に該当するのか? 議論に見る店舗経営の負担と利用者のモラル
tend Editorial Team

2026.06.29(Mon)

「過去の事は帳消しにならん」「今は応援したい」とSNSで賛否両論。へずまりゅう、幼馴染の結婚式出禁を告白
tend Editorial Team