「先生、娘からの花束です」と手柄を独占したママ。だが、私が明かした事実で顔色が一変
驚いた先生の顔
小学校の入学式の朝、卒園した幼稚園の門の前は、ランドセル姿の子どもとその親でにぎわっていました。
お世話になった担任の先生に、年長クラス二十人でお礼の花束を贈る。
会費を集めて用意してくれたのは、クラス委員のママでした。準備の段取りは、確かに彼女が引き受けてくれたのです。
子どもたちが先生を囲んで写真を撮るなか、委員のママは自分の娘に花束を持たせ、先生の前へ押し出しました。
「先生、娘からの花束です」
その言い方に、私は思わず手を止めました。会費を出したのは、ここにいる二十家庭です。
なのに、まるで一軒からの贈り物のよう。先生も、どう受け取っていいか分からない様子で、目をしばたたかせていました。
みんなの花束に戻った
「みんなで出したんです」
私は先生のほうへ一歩寄って、笑顔でそう付け加えました。とがめる口調ではありません。
ただ、本当のことを先生に知っておいてほしかったのです。会費の封筒を集めて回したのは私で、二十家庭の気持ちがそこにあると分かっていたからです。
先生の表情が、ふっとほどけました。
「みんなからだったんですね。びっくりしました」
委員のママは言葉に詰まり、視線を落としました。周りのママたちからは「うん、みんなで決めたんですよ」と次々に声が上がります。
場の空気は、はっきりと私の側に傾いていました。委員のママは何も言い返せず、頬をこわばらせたまま、そっと後ろへ下がっていきます。
娘さんはきょとんとした顔で、お母さんを見上げていました。手柄をひとりじめしようとした空気は、もうどこにもありません。
先生に花束を渡したのは、二十家庭みんなだった。その当たり前のことが、ようやくその場の全員に共有されたのです。
先生は花束を胸に抱え、子どもたち全員のほうへ体を向けました。
「みんな、ありがとう。大切にするね」
そして集合写真のとき、先生はもう一度みんなにお礼を伝えてくれました。誰か一人の手柄ではなく、卒園したクラス全員からの花束。本来あるべき形に、ちゃんと戻ったのです。
準備をしてくれた委員のママには、感謝しています。でも、みんなで出したものは、みんなの名前で渡したい。あのとき口に出してよかったと、写真を見返すたびに思います。最後まで気まずそうにしていたのは、独り占めしようとした本人だけでした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














