「降りろよ、みんな遅れるだろ」満員エレベーターに最後に乗り、先にいた私を責める男性。だが、私のお願いで孤立
月曜の朝の満員エレベーター
月曜の朝、私は重い箱を抱えて満員のエレベーターに乗りました
月曜の朝、私は会議で配る床材の見本を詰めた段ボール箱を抱え、オフィスビルのエレベーターに乗り込みました。
中はほぼ満員です。私は扉の脇、操作盤の前に体を寄せました。
扉が閉まりかけたとき、長いコートを着た50代くらいの男性が、身をかがめるようにして、すき間に体をねじ込んできました。
足元で何かを引きずるような音がしましたが、箱を抱えていた私には、何を持ち込んだのか見えませんでした。
「おい、詰めてくれ!」
「あっ、はい。」
男性は扉のすぐ内側に立ち、無理やり体を押し込みました。
そのとたん、操作盤の赤いランプがつき、ブザーが鳴りだしました。どうやら重量超過のようです。
最後に乗った男性が、ブザーを私の箱のせいにしました
男性は私と腕の中の箱をにらみ、大きく舌打ちしました。
「そんな大荷物で乗るな!」
「えっ、私ですか?」
最後に乗ったのはそちらでは、と言いかけた私の声に、男性の声がかぶさりました。
男性は、自分は荷物ひとつないと言い張りました
「こっちは荷物ひとつないんだぞ。」
男性はコートの前で、空の両手を広げてみせます。
男性は、あと1人分は空いていたのだから、自分が乗っても問題ないと言い張ります。そして、私の箱をあごで指しました。
「重いのはその箱だ!」
乗客の視線が私の箱へ集まります。中身は床材の見本で、重いのは本当です。
ただ、重量超過のブザーが鳴ったのは、この男性が乗ってからでした。周囲の人たちも困惑した様子で顔を見合わせています。
私は言い返したい気持ちを抑え、いったん口をつぐみました。
降りろと指をさされて
乗客の視線を浴び、私は箱を抱えて廊下へ降りました
会議の準備もあり、ここで言い合えば全員を遅らせてしまいます。
男性は私に人さし指を突きつけました。
「降りろよ、みんな遅れるだろ!」
「…すみません。」
最後に乗った男性が降りるべきではないかと思いましたが、これ以上騒ぎを大きくしたくありません。
私は箱を抱えたまま頭を下げ、廊下へ出ました。背後からは小さなため息が聞こえてきます。
私が降りてもブザーは鳴りやまず、男性の足元にバッグが見えました
ところが、私が降りても、ブザーは鳴りやみません。赤いランプもついたままで、扉も閉まりません。
箱を抱えた私が降りても重量超過が解消されないことに、乗客たちも不思議そうな顔をしています。
腕がしびれ、私は箱を廊下の床に下ろしました。
ふと顔を上げると、扉のすぐ内側に立つ男性の足元が目に入りました。長いコートのすそに隠れるように、ぱんぱんに膨らんだボストンバッグが置かれています。
箱を抱えて立っていたときには見えなかった場所です。先ほど聞こえた、何かを引きずるような音を思い出しました。
男性は荷物がないと言い張っていましたが、実際には大きなバッグを持ち込んでいたのです。
私はしゃがんだまま、男性の足元を指しました。
「まだ鳴っていますね。荷物ひとつない、とおっしゃいましたよね。」
乗客たちも、男性の足元にあるバッグに気づきました。
「これは、軽いんだ!」
男性は慌てた様子で言い返します。
私は、ひとつだけお願いしました。
「そのバッグだけ、外に出してみては?」
バッグを出すとブザーはやみ、男性だけが廊下に残されました
男性はバッグの持ち手をつかみましたが、片手ではなかなか持ち上がりません。両手でようやく抱え上げ、扉の外へ下ろしました。
すると、ブザーがやみ、赤いランプも消えました。男性はまだ中にいるのに、です。
どうやら、男性が持ち込んだバッグの重さも、重量超過の大きな原因だったようです。
周囲の乗客はバッグと男性を見比べています。先ほどまで強気だった男性は、何も言わなくなりました。
バッグを廊下に置いたまま乗っていくわけにもいかず、男性もエレベーターから降りました。
私は空いた場所に箱を抱えて乗り直しましたが、今度はブザーが鳴りません。
「遅れますので、お先に失礼します。」
扉が閉まっていきます。重いバッグを抱え直し、立ち尽くす男性だけが、廊下に残されました。
※本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














