「証拠ならあるぞ」昨日は半額だったと言い張る男性客。だが、店長が差し出された写真と惣菜を見比べた結果
昨日の半額にこだわる男性客
夕方のスーパーは、仕事帰りの客で混み合っていました。
私もレジの列に並んでいましたが、なかなか順番が進みません。
私の前にいたのは、男性客。
そのかごには、値引きシールが貼られたお惣菜が山積みになっていました。
若い女性の店員さんが商品を一つずつレジに通していると、男性が突然声を上げました。
「ちょっと待って。これ、半額になってないじゃないか」
店員さんは商品のシールを確認して、丁寧に答えます。
「申し訳ありません。こちらは本日、3割引きになっております」
「いや、昨日は半額だったんだよ。今日だって半額でいいだろう」
どうやら男性は、前日に見た値段と同じ金額で買えると思っていたようです。
「ですが、今日はこちらのお値段でして…」
「だから、昨日は半額だったって言ってるだろ!」
男性はレジ台に手をつき、身を乗り出しました。店員さんは困った表情を浮かべ、商品のシールをもう一度確認しています。
私の後ろにも列が伸びていましたが、男性は引き下がりません。
やがて男性は大きく舌打ちをすると、ポケットから携帯電話を取り出しました。
「証拠ならあるぞ」
そう言って画面を店員さんに向けます。どうやら昨日、売り場で撮影した写真のようでした。
そのとき、後ろに並んでいた年配の女性客が、私に小声で話しかけました。
「あの人ね、毎日来て、値段をチェックしてるのよ」
私は驚きながらも、目の前のやり取りから目が離せませんでした。
店長が写真を拡大すると
しばらくして、店員さんに呼ばれた店長がレジの横へやってきました。
男性は待っていたとばかりに、携帯電話の画面を店長にも向けました。
「ほら、これ見てよ。昨日は半額だったんだ。ちゃんと写真も撮ってあるんだから」
「そうでしたか。少し確認させてください」
店長は写真を指で拡大し、レジ台にあるお惣菜のパックと見比べました。
そして、落ち着いた声で男性に尋ねます。
「お客様、こちらの写真ですが……半額のシールが貼ってあるのは、隣に並んでいる別のお惣菜ですね」
「えっ?」
男性は思わず画面を見直しました。
「容器の色も、ふたの形も違います。こちらの商品とは別のものですよ」
私の位置から写真の細かい部分までは見えませんでしたが、店長の説明で何が起きたのか分かりました。
男性が半額の証拠として見せた写真には、違うお惣菜が写っていたのです。
それまで腕を組んでいた男性は、ゆっくりと腕を下ろしました。
「……ああ、そうか」
先ほどまでの勢いはなく、男性は携帯電話をポケットにしまいました。
結局、男性はそれ以上値引きを求めることなく、3割引きのまま代金を支払いました。
買ったお惣菜を袋に詰めると、うつむき加減で足早に店を出ていきました。
男性がいなくなったあと、後ろの年配の女性客がぽつりと言いました。
「自分の写真くらい、よく見てから出さなきゃね」
思わず笑いそうになりましたが、私は何も言わず前を向きました。
店員さんはほっとしたように表情をやわらげ、私のかごに手を伸ばしました。
「お待たせしました。ありがとうございます」
写真を証拠として見せたはずが、かえって自分の勘違いに気づくことになった男性。あれほど強気だった人が急に静かになった様子が、今でも印象に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














