「教育がなっていないんじゃない?」レジに商品を投げた女性客。言い返せない私に、隣の先輩がかけた言葉
レジ台に投げられたサッカーのソックス
学生のころ、スポーツ用品店でレジのアルバイトをしていたときのことです。
その日は昼どきで、私はレジを担当していました。
隣のレジには、パートの先輩がいました。
そこへ、30代くらいの茶髪の女性客がやってきました。
手にはサッカーのソックスを持っています。
女性客はレジの前に来るなり、持っていたソックスを私のほうへ投げるように置きました。
商品はレジ台の上で跳ね、端のほうで止まりました。
私は思わず商品を見つめてしまいましたが、女性客は何も言わず、腕を組んで待っています。
「いらっしゃいませ」
少し驚いたものの、気持ちを切り替えてバーコードを読み取りました。
「お会計、こちらになります」
女性客は無言で支払いを済ませました。
私が商品を袋に入れようとしていると、大きなため息が聞こえてきました。女性客はつま先で床を鳴らしながら、こちらを見ています。
「ねえ、まだ?」
「すみません、もう少しです」
急いで袋に入れながら顔を上げると、女性客と目が合いました。
「あんた、態度悪いね」
突然そう言われ、手が止まりました。
「えっ……」
「さっきから、嫌そうな顔してるじゃない」
商品を投げられて驚いた気持ちが、顔に出てしまっていたのかもしれません。
それでも、普通に接客していたつもりだったので、どう答えればいいのか分かりませんでした。
女性客はレジ台に片手をつくと、さらに声を大きくしました。
「教育がなっていないんじゃない?」
隣の先輩が伝えた一言
後ろには、会計を待っているお客さんもいます。
これ以上お待たせするわけにもいかず、私は袋を持ったまま固まってしまいました。
すると、隣のレジにいた先輩が女性客のほうへ向き直りました。
「お客様、申し訳ありません。お待たせしてしまいましたね」
先輩は落ち着いた声でそう言いました。
女性客も先輩に顔を向けます。
すると先輩は、穏やかな口調のまま続けました。
「ただ、商品は投げずに置いていただけると助かります。こちらも驚いてしまいますので」
女性客は一瞬、言葉に詰まったようでした。
「…別に、投げたつもりじゃないけど」
小さな声でそう返す女性客に、先輩は言い争うことなく、軽く頭を下げました。
「失礼いたしました。商品はこちらです」
私は慌てて袋を差し出しました。
女性客はそれを受け取ると、それ以上何も言わず、足早に店を出ていきました。
女性客がいなくなると、先輩が私に声をかけてくれました。
「大丈夫?びっくりしたよね」
「はい……。すみません、何も言えなくて」
「謝らなくていいよ。ちゃんと対応できてたから」
その言葉を聞いて、ようやく少し肩の力が抜けました。
「ありがとうございます」
先輩は「うん」と笑うと、また自分のレジに戻っていきました。
女性客の言葉はショックでしたが、先輩が見ていてくれたことが何より心強かったです。
相手を責めるのではなく、伝えるべきことはきちんと伝える。あのときの先輩の対応は、今でも忘れられません。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














