「ちゃんと返したいんだもん」半年前に貸した5万円を返さなかった彼女。だが、誕生日に差し出してきた思わぬ券に笑った
返ってこないと思っていた5万円
彼女とは去年から付き合っています。僕のほうが3つ年上ということもあり、食事や映画の代金は、いつも僕が払っていました。
彼女に財布を出させず、さっと会計を済ませる。そんな自分を、少し格好いいと思っていたのかもしれません。
ところが半年前、彼女から思いがけないお願いをされました。
夜のレストランで食事を終え、コーヒーを飲んでいたときのことです。
「ねえ、ちょっとお願いがあるんだけど…」
「どうしたの?」
「欲しいバッグがあってね。5万円、貸してもらえないかな?お給料が入ったら、ちゃんと返すから」
突然のお願いに、僕は少し戸惑いました。
5万円は、気軽に渡せる金額ではありません。それでも、彼女に頼られると断りきれず、結局貸すことにしました。
「……わかった。ちゃんと返してね」
「ありがとう!本当に助かる!」
うれしそうな彼女を見て、そのときは僕も悪い気はしませんでした。
しかし、それから給料日が何度過ぎても、返済の話は出ません。
デートの支払いも、相変わらず僕の役目です。
ある日の食事でも、会計を済ませると彼女は笑顔で言いました。
「ごちそうさま!いつもありがとうね」
「うん、どういたしまして」
僕も笑って返しましたが、心の中では別のことを考えていました。
あの5万円、忘れているのかな。
一度くらい聞いてみようかとも思いました。でも、お金の話で気まずくなるのが嫌で、なかなか切り出せません。
結局、もう返ってこないものだと考えるようになっていました。
誕生日にもらった封筒の中身
そんなある日、僕の誕生日がやってきました。
その夜、彼女は小さなケーキを持って僕の部屋に来てくれました。
二人でケーキを食べ終えたころ、彼女が何やら白い封筒を取り出します。
「はい、これ。受け取って!」
「えっ、何?」
差し出された封筒には、彼女の字でこう書かれていました。
「5万円返済」
思わず目を見開きました。
あのお金のこと、ちゃんと覚えていたんだ。
それだけで、胸のつかえが少し取れた気がしました。
「これ、開けてもいい?」
「もちろん!ちゃんと見てね」
ところが、受け取った封筒は妙に薄いのです。
不思議に思いながら開けると、中から出てきたのはお札ではなく、手作りのカードでした。
そこには大きな文字で、こう書かれていたのです。
「これからのデート代、ぜんぶ私が払います券」
「……えっ、券?」
思わず彼女の顔を見ました。
すると彼女は、少し照れくさそうに説明し始めました。
「お給料、毎月ちょっとしか残らなくて……。だから、これからは私がデート代を払うね。5万円分になるまで、ちゃんと払うから!」
その真剣な表情と、手作りの券との組み合わせがおかしくて、僕は思わず吹き出してしまいました。
「ちょっと、なんで笑うの!」
「ごめん、ごめん。いや、まさか券が出てくるとは思わなくて」
「だって、ちゃんと返したいんだもん」
その言葉を聞いて、僕はようやく笑うのをやめました。
もちろん、これで5万円が返ってきたわけではありません。
それでも、彼女が忘れていたわけではなく、自分なりに返す方法を考えてくれていたことがうれしかったのです。
「そっか。じゃあ、これからお願いしようかな」
「うん! 任せて!」
僕はそのカードを、大事に財布へしまいました。
そして次のデート。
食事を終えて伝票が置かれた瞬間、彼女がすかさず手を伸ばしました。
「はい! ここは券の出番です!」
得意げな顔で会計をする彼女を見て、僕はまた笑ってしまいました。
5万円の返済は、まだ始まったばかりです。
でも、これまで当たり前のように僕が払っていたデート代を、彼女が自分から払おうとしてくれたこと。
その変化が、僕には何よりうれしく感じられたのでした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














