「1万2千円、払えよ」祖母自慢の大鉢を割ったのは、私の車のミラーだと言い張るいとこ。結局は自滅
秋の祖母の家の庭で
祖母の家の庭に車を入れたとき、花台の大鉢が割れました
句会で留守にしている祖母に頼まれ、10月の日曜日の昼、新米を届けに来ました。
乗ってきたのは古い車で、ドアミラーには以前から小さな傷がいくつもあります。
庭にバックで入り、縁側の端にある花台の横を通り過ぎようとしたとき、車の横あたりから何かが割れる音がしました。
降りてみると、花台の下で、祖母自慢の浅い藍色の大鉢が3つに割れています。
花台の上に置かれていた鉢が、何らかの拍子に落ちたようでした。
縁側の奥の障子が開き、いとこが庭へ下りてきました。
「ミラーで台を引っかけたろ。」
「1万2千円、払えよ。」
いとこは、台に近づいたのは私の車だけだと言いました
奥の座敷で寝ていて、割れる音で目が覚め、障子を開けたのだと言います。
「開けたら、車が台の横にいた。」
「台に近づいたのは、お前の車だけだ。」
バックしている間、私は後方の確認に気を取られ、ドアミラーと花台の距離までは把握できていませんでした。
叔母も来て、私は鍵を握ったまま言い返せずにいました
そこへ叔母が縁側に出てきて、腰を下ろしました。息子の話を聞くと、割れた鉢から私へ目を移し、眉を寄せます。
いとこは、さらに畳みかけるように言いました。
「ばあちゃんが戻る前に、払っとけ。」
車が花台の横を通ったのは本当です。ミラーの傷はもとからあって、どれが今ついたものなのかも分かりません。
祖母は夕方まで句会に出かけており、叔母も庭で何が起きたのか見ていませんでした。
いとこは割れた瞬間を見たとは言っていません。それなのに、私がぶつけたと決めつけています。
縁側の叔母と、目の前のいとこ。2人を前に、私は車の鍵を握ったまま、怖くて声が出ませんでした。
「ばあちゃんが戻る前に、払っとけ」
いとこは、ドローンは家で充電中だと言いました
やることがなくて寝ていた、といとこは叔母に説明しました。
普段から趣味で飛ばしているドローンについても、聞かれていないのに話し始めます。
「ドローンは、家で充電中。」
「電池、30分しかもたないし。」
私は反論することをあきらめ、財布を出そうとバッグに手をかけました。
花台の真上の柿の枝に、ランプの点いたドローンがありました
そのとき、いとこの目が何度も同じ方向へ動いていることに気づきました。縁側の右上を、ちらちらと気にしているのです。
視線の先を追うと、縁側の上に張り出した柿の枝の、葉の陰に白いドローンが挟まっていました。機体の中央では、小さなランプが点いています。
その枝は、割れた鉢が置かれていた花台のほぼ真上にありました。
「柿の木のドローン、下ろしてみて。」
そのとき、枝の上からピピッと小さな電子音が聞こえました。ドローン本体から鳴っているようです。
いとこがボタンを押しても、ドローンは下りてきません
いとこの声が、ひときわ大きくなりました。
「あれは、夏になくした機体だ!」
「なんでまだ動いてるのよ!」
夏からすでに3か月ほど経っています。
飛行時間が30分程度だというドローンの電池が、その間ずっと電源を入れたままで、今もランプを点灯させ、電子音を鳴らしているとは考えられません。
いとこはパーカーのポケットからリモコンを取り出し、ボタンを押しました。
すると、枝に挟まったドローンのランプが点滅しました。
しかし、機体は枝に引っかかったままで、下りてきません。
夏になくしたはずの機体が目の前にあり、いとこが持っているリモコンにも反応しています。
叔母が、何も言わずに息子へ手のひらを差し出しました。
いとこはリモコンを渡すと、気まずそうにうつむきました。
しばらくして、いとこは寝ていたという話も嘘だったと認めました。
私の車が庭に入ってきたとき、いとこは縁側からドローンを飛ばしていたそうです。
操作を誤った機体が大鉢の縁に接触し、鉢が花台から落ちて割れてしまったのでした。
『鉢にぶつけて、慌てて上げたら、枝に引っかかった。下ろして隠そうとした。ばあちゃんには、俺が払う』。
いとこは、自分が鉢を割ったことを祖母にも説明すると約束しました。私に1万2千円を払えという話は、それきり出ませんでした。
※本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














