「読めるなら、自分でやってるよ」写真の機械の使い方を尋ねた男性客。だが、画面を確認した店員が赤面した理由
「画面を見れば分かるのに」と思っていた私
大学生のころ、私はスーパーの中にある写真の店でアルバイトをしていました。
店には、お客さんが自分で写真を印刷できる機械がありました。
画面には操作の手順が表示され、音声でも案内してくれます。
私自身、操作はそれほど難しくないと思っていました。
だから、使い方を聞かれるたびに、心の中では「画面に書いてあるのに」と感じていたのです。
もちろん、お客さんの前では口にしません。ただ、何度もカウンターから出て説明するのを、少し面倒に思っていました。
そんなある日の昼のことです。
一人の男性客が、写真の機械の前で困っている様子でした。カードを差し込んだまま、画面を見つめています。
しばらくすると、男性がカウンターにいる私に声をかけてきました。
「すみません。ちょっと教えてもらってもいいですか?」
「はい、どうされました?」
「これ、どこを押したらいいのか分からなくて」
私はカウンターの中から答えました。
「画面の案内に沿って進めてもらえれば大丈夫ですよ」
機械から音声が流れているのも聞こえていました。
ただ、何を案内しているのかまでは確かめていませんでした。
「いや、それがね…」
男性は困ったように画面を振り返ります。
「最初に写真を選ぶボタンがあると思うんですが」
「うん、ボタンはあるんだけど……」
なかなか話が進まず、私は伝票を置いてカウンターから出ました。
画面を見た瞬間、恥ずかしくなった理由
「ちょっと画面を見せてくださいね」
そう言って男性の隣に立った私は、思わず「あっ」と声を漏らしました。
画面に並んでいたのは、日本語ではない文字ばかりだったのです。
よく聞くと、音声案内も日本語ではありません。
「えっ……これ、言葉が変わってますね」
おそらく前に使った人が、表示言語を切り替えたままにしていたのでしょう。
男性は苦笑いしながら、私に言いました。
「読めるなら、自分でやってるよ」
その一言に、私は何も言い返せませんでした。
さっきまで「画面の案内に沿って」と繰り返していた自分が、急に恥ずかしくなりました。
「すみません!ちゃんと確認もしないで……」
慌てて設定画面を探し、日本語に戻しました。すると、いつもの見慣れた案内が表示されます。
「ああ、これこれ。これなら分かるよ。ありがとう」
男性はほっとした表情で画面を操作し始めました。先ほどまで迷っていたのが嘘のように、写真を選んで印刷のボタンを押していきます。
その姿を見て、私はますます申し訳なくなりました。
男性は操作が分からなかったのではなく、表示されている言葉が読めずに困っていたのです。
事情も聞かずに「読めば分かる」と決めつけていたのは、私のほうでした。
カウンターに戻ってからも、しばらく顔が熱いままでした。
あの日以来、お客さんに使い方を聞かれたら、まず一緒に画面を確認するようにしています。
自分にとって簡単なことが、相手にとっても簡単とは限らない。あの男性の一言は、今でも忘れられません。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














