「ずっと見られていた」業務中に感じていた視線。かかってきた内線に恐怖した瞬間
見回りの男性
ビルの中にあるお店で、レジの仕事をしていた時期があります。
フロアには警備会社の制服を着た男性が、見回りでときおり通りかかっていました。
やり取りは、会釈と業務的なひと言だけ。立ち入った話をしたことは一度もなく、相手のことは何も知りませんでした。
それでも、通りかかる頻度が上がるにつれ、視線が長くとどまるようになっていったのです。
接客をしていても、レジの向こうから見られている感覚が、じわじわと消えなくなりました。
手を動かしながら顔を上げると、少し離れた柱のそばに、あの制服が立っています。
目が合うわけでもなく、去るわけでもない。
ただ、こちらへ体を向けたまま、じっとしているのです。気のせいだと思おうとするほど、その姿がはっきりと残りました。
一本の電話
ある日のことです。同じ職場の女性が、少しためらいながら教えてくれました。
会社に、匿名の男性から一本の電話がかかってきたというのです。
用件は、私が何曜日に出勤しているのか、というものでした。
かけてきた相手は名乗らず、それだけを確かめて切ったそうです。
問題は、その電話が内線にかかってきたことでした。
外部には公開していない番号で、知っているのは社員だけのはずです。
職場はほとんどが女性で、誰かが面白半分にかけたとも思えませんでした。
けれど、ビル全体を管理している警備の側なら、内線の番号を調べる手立てはある。
そこまで考えが及んだとき、指先がすっと冷たくなりました。
私は誰にも、勤務の曜日を教えた覚えがありません。
それなのに、名も知らない誰かが、それを尋ねて回っている。立っている足元が、急に頼りなくなったようでした。
凍りついた理由
「ずっと見られていた」
その一言が、思わず口をついて出ました。
あの長い視線と、勤務日を尋ねる電話が、頭のなかで一本の線につながってしまったのです。
もちろん、あの男性だと決まったわけではありません。
証拠は何もなく、問い詰める材料もない。それでも、話したこともない誰かが、私の働く曜日まで知ろうとしていた。
その事実は、どんな脅し文句よりも、ぞっとするものでした。
あれから時間が経った今も、答えは出ていません。レジに立つ自分を、どこからか見ていた目が、本当は誰のものだったのか。
確かめる術は、もうどこにも残っていないのです。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














