「返さなくていいよ」彼のチケット代8000円をあきらめていた私。2か月後、逆にお金を払うことになった理由
返ってこないと思っていたチケット代
「貸したお金は、あげたつもりでいなさいね」
子どものころから、母によく言われていた言葉です。
5年ほど前、当時付き合っていた彼とテーマパークへ行ったときも、私はこの言葉を思い出すことになりました。
その日のチケットは、私が彼の分もまとめて購入していました。
ひとり8000円ほどで、2人分を先に支払ったのです。
「ありがとう!チケット代はあとで払うね」
彼もそう言っていたので、特に気にしていませんでした。
当日、彼は朝からごきげんでした。
お昼ごはんを食べたときも、おやつを買ったときも、おみやげを選んだときも、彼が率先して会計を済ませてくれます。
私は乗り物や景色を楽しむのに夢中で、そのたびに「ありがとう」とお礼を言っていました。
ところが夕方、売店の前で彼が財布を開いたときのことです。
「あれ、思ったより使っちゃったな……。ごめん、チケット代、今度でもいい?」
「うん、いいよ。気にしないで」
そう答えたものの、少し引っかかりました。
もちろん、彼が食事代などを払ってくれたことは分かっています。
ただ、チケット代は返してもらう約束だったので、少し残念だったのです。
それでも、楽しい一日にしたかった私は、それ以上何も言いませんでした。
「返さなくていいよ」と言った私が驚いた理由
その後、彼からチケット代の話が出ることはありませんでした。
次に会ったときも、その次も、いつもどおり楽しく過ごすだけ。
私も自分から催促する気にはなれず、母の言葉を思い出していました。
もう返ってこないものと思っておこう。そう考えることにしたのです。
ところが、テーマパークへ行ってから2か月ほどたった夜のこと。
私の部屋でくつろいでいた彼が、ふと思い出したように言いました。
「あ、そうだ。あのときのチケット代、まだ払ってなかったよね」
「ああ、あれ?もういいよ。返さなくて」
私は笑って答えました。
すっかりあきらめていたので、今さら請求するつもりもなかったのです。
しかし、彼は首を横に振りました。
「いや、それは悪いよ。そうだ、あの日のお金、全部まとめて計算しない?」
そう言って、かばんから封筒を取り出したのです。
中には、テーマパークで使ったお昼ごはんやおやつ、おみやげのレシートが入っていました。
帰りの電車代も、彼が覚えていた金額を書き足します。
「チケット代も入れて、半分ずつにしようよ」
「うん、分かった。計算してみようか」
私は引き出しから電卓を取り出し、金額を順番に打ち込んでいきました。
ところが、合計を出してみると、思わず手が止まりました。
「えっ…ちょっと待って」
自分ではチケット代を立て替えたことばかり気にしていましたが、彼はその日、食事やおやつ、おみやげなどにかなりのお金を使っていたのです。
私が払った2人分のチケット代も含めて折半すると、彼の負担のほうが多くなっていました。
「あれ、僕のほうが多く払ってたんだね」
彼が電卓をのぞき込みながら言います。
「……ということは、私が差額を払うんじゃない?」
自分でそう言った瞬間、なんだかおかしくなって笑ってしまいました。
返してもらうどころか、私のほうがお金を渡すことになるなんて。
「返さなくていいよ」なんて、ずいぶん気前のいいことを言ったつもりだったのに、彼は私が思っていた以上に負担してくれていたのです。
私は財布を取り出し、計算した差額を彼に渡しました。
「なんか恥ずかしいな。お母さんの教え、私のほうに当てはまってたみたい」
「え、どういうこと?まあ、次のおやつはごちそうしてよ」
彼も笑いながら、お金を財布にしまいました。
あの日以来、誰がいくら払ったのか、ちゃんと確認してから考えようと思うようになりました。
母の教えは大切ですが、そもそも自分のほうが多く払っていると思い込んでいたことが、何より恥ずかしかったです。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














