「料理のすぐそばでしゃべるなよ」ラーメン店で店員を怒鳴った男性客。だが、隣の女性に指摘されて言葉を失った瞬間
ラーメンを置いた瞬間、響いた怒鳴り声
私が大学生だったころの話です。デパートの中にあるラーメン屋で、ホールのアルバイトをしていました。
その日は祝日で、お昼どきの店内は家族連れや買い物帰りのお客さんでいっぱいでした。
私はお盆を手に、カウンター席の後ろを忙しく行き来していました。
注文が重なり、料理の提供にも少し時間がかかっていました。
カウンター席に座っていた男性客は、何度も厨房のほうをのぞき込み、そのたびに小さく舌打ちをしていました。
ようやくラーメンができあがり、私は男性の席へ運びました。
「お待たせしました」
器を置いて声をかけた、そのときです。
「おい、ちょっと待てよ!」
突然の大きな声に、私は思わず手を止めました。
「料理のすぐそばでしゃべるなよ。唾が飛んだらどうするんだ!」
「えっ……申し訳ございません」
驚いて頭を下げると、男性はさらに声を荒らげました。
「衛生的にどうなんだよ、これ。こんなの食えるか!作り直してこい!」
周りのお客さんも驚いたように、こちらを見ています。
「申し訳ございません…」
私はお盆を胸に抱えたまま、どうすればいいのか分からなくなってしまいました。
涙が出そうになるのを、必死にこらえていました。
隣の女性客が指摘した、男性自身の行動
すると、カウンターの中にいた社員さんが対応を代わってくれました。
「大変失礼いたしました。お作り直しいたします」
社員さんはラーメンを下げると、私に小声で言ってくれました。
「少し下がってていいよ」
私はほっとして、少し離れたレジの横へ移動しました。
しばらくして、作り直したラーメンが男性の前に運ばれました。
男性が不機嫌そうに箸を割った、そのときです。
隣の席にいた女性客が、れんげを置いて男性に声をかけました。
「あの、ちょっといいですか」
「……何だよ」
「さっき、店員さんは普通に声をかけただけでしたよね」
男性は不満そうに女性を見ました。
女性は少し間を置いて、続けました。
「それより、あなたも料理の目の前で、ずいぶん大きな声を出してましたよね」
「いや、俺は……」
「衛生面が気になるのは分かりますけど、あんなに怒鳴らなくても…」
男性は何か言い返そうとしましたが、その先の言葉は出てきませんでした。
女性はそれ以上何も言わず、自分のラーメンに向き直りました。
男性は顔を赤くしてうつむくと、黙ってラーメンをすすり始めました。
レジの横から様子を見ていた私は、女性客にそっと頭を下げました。すると女性は、小さく笑ってうなずいてくれました。
男性はその後、何も言わずにラーメンを食べ続けていました。
衛生面を気にすること自体は、決して悪いことではありません。
ただ、あれほど強く怒鳴られる必要があったのだろうかと、今でも思います。
女性客が落ち着いた声で伝えてくれたひと言が、忘れられません。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














