「工事するなら、そちらの負担でお願いね」室外機に苦情を言う隣人。しかし、工事当日に業者が気づいたこととは
突然、隣人から言われた室外機への苦情
洗濯物を取り込もうと、家の横の細い通路に出た昼のことです。
隣の奥さんが、我が家の室外機をじっと見ていました。この家に住んで10年以上になりますが、室外機をそんなふうに見られたのは初めてでした。
私に気づくと、隣の奥さんが声をかけてきました。
「前から気になってたんだけど、これ、向きを変えてもらえないかしら」
「えっ、室外機ですか?」
「そう。夏になると、温かい風がうちの壁に当たるのよ」
そう言われて室外機を見てみると、確かに吹き出し口は隣の家の方向を向いていました。
ただ、これまで一度も指摘されたことがなかったので、どう答えたらいいのか分かりません。
「そうだったんですね。でも、向きを変えられるかどうかは、業者さんに聞いてみないと…」
「じゃあ、聞いてみてちょうだい。こっちは何年も我慢してきたんだから」
「分かりました。確認してみます」
「工事するなら、そちらの負担でお願いね」
そこまで言われるとは思わず、正直、戸惑いました。
室外機は何年も同じ場所に置いてあります。それに、工事となれば費用もかかります。
それでも、隣同士でこれ以上もめるのは避けたいと思い、私は自分で費用を負担して、向きを変える工事を頼むことにしました。
工事の日、業者さんが気づいたこと
工事当日、業者さんが通路で配管などを確認していると、隣の奥さんが玄関から出てきました。
「今日、向きを変えるんですよね?」
「はい。今、設置場所を確認しています」
「ちゃんと、うちに風が来ないようにしてくださいね」
「分かりました。周りも確認しながら作業しますね」
業者さんはそう答えると、室外機の周囲を見回しました。
そして、隣の家の壁際に置かれた室外機に目を留めました。
「あ、お隣の室外機も、こちらの窓に向いていますね」
「えっ?」
私も業者さんが見ている方向に目を向けました。
確かに、隣の家の室外機は我が家の窓の方を向いています。
自分の家の室外機ばかり気にしていて、隣の室外機がどちらを向いているのか、今まで意識したことがありませんでした。
業者さんは隣の奥さんにも聞こえる声で続けました。
「こちらも窓に向かって風が出る配置ですね。気になるようでしたら、そちらも確認してみたほうがいいかもしれません」
隣の奥さんは自分の家の室外機を振り返りました。
さっきまで工事についてあれこれ言っていたのに、今度は何も言いません。
少し気まずそうな表情を浮かべ、そのまま家の中へ戻っていきました。
私もその場で何か言うつもりはありませんでした。ただ、こちらの室外機ばかり問題にされていたので、業者さんが気づいてくれて少しほっとしました。
「では、こちらは予定どおり進めますね」
「はい、お願いします」
それから数週間後、ふと隣の家の室外機を見ると、我が家の窓とは別の方向を向いていました。
隣の奥さんがどう考えたのかは分かりませんが、あの日の指摘がきっかけになったのかもしれません。
その後、我が家の室外機について苦情を言われることはなくなりました。
何年も暮らしていると、意外とお互いに気づいていないことがあるのだと思います。今では、以前ほど隣の家を気にせず、窓を開けられるようになりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














