「実は、管理会社に相談したのは僕なんです」騒音の貼り紙を他人事だと笑う隣人。だが、私の告白に顔色が一変
眠れない夜と、掲示板の貼り紙
寝室の壁の向こうから、今夜もテレビの音が流れてきます。
ベッドに横になったまま、僕は暗い壁をじっと見つめていました。
隣の部屋に住む年配の女性が、夜遅くまで電話で話すようになったのは少し前のことです。
話し声に重なるように、テレビから流れるニュースの声まで壁越しに聞こえてきます。
最初は一時的なものだろうと思っていました。
しかし、夜中になっても音が続く日が増え、なかなか寝つけないことが多くなりました。
直接注意しようかとも考えましたが、隣同士では今後も顔を合わせます。
できれば関係を悪くしたくありません。
悩んだ末に、僕は管理会社へ電話をかけました。
「お隣のテレビや話し声が夜遅くまで聞こえてきて、少し困っているんです。ただ、直接言うと気まずくなりそうで……」
「では、建物全体へのお知らせという形にしましょう。どのお部屋からのご相談かは、伏せておきますので」
数日後、エントランスの掲示板に、夜間のテレビや話し声について注意を呼びかける貼り紙が出されました。同じ文面のお知らせが、全部の部屋のポストにも配られていました。
これで少しでも静かになればいい。僕はそう思っていました。
貼り紙を他人事にした隣の住人
その日の夜、仕事から帰って廊下を歩いていると、隣の住人がドアの前に立っていました。
手には、ポストから取り出したらしいお知らせを持っています。
「あら、お帰りなさい。下の貼り紙、見た?」
「ええ、見ました」
住人はお知らせを軽く持ち上げ、少し笑いながら言いました。
「どこのお宅か知らないけど、困った人がいるのねえ。うちのことじゃないわよ」
「夜はテレビをつけても、ほとんど音なんて出してないもの」
僕は返事に困りました。壁越しに聞こえてくる音と、目の前の住人が話す内容があまりにも違っていたからです。
「でも、夜は意外と隣の部屋まで音が響くみたいですよ」
やんわりと伝えてみましたが、住人は首をかしげました。
「そうなの?でも、そんなに気になるなら直接言ってくれればいいのにね。わざわざ管理会社に連絡しなくても」
その言葉を聞いて、僕は少し迷いました。
本当は誰が相談したのか知られたくありませんでした。でも、このままでは自分の部屋の音が隣まで聞こえていることに気づいてもらえないかもしれません。
僕は思い切って口を開きました。
「実は、管理会社に相談したのは僕なんです」
「えっ、あなたが?」
「はい。夜中のニュースの声まで、聞こえてますよ」
住人は驚いた顔で僕を見ました。
「そんなに聞こえてるの?」
「ええ。ニュースが終わって天気予報が始まったのも分かるくらいです。電話でお話しされている声も、夜遅い時間だと結構響いていて……」
「そうだったの……」
住人は手元のお知らせに目を落とし、しばらく黙っていました。
僕は続けました。
「昼間は全然気にならないんです。ただ、夜は寝室まで聞こえてくるので、できれば少しだけ音量を下げてもらえると助かります」
すると、住人は小さくうなずきました。
「自分の部屋では、そんなに大きな音だと思ってなかったわ。ごめんなさいね。気をつけるわ」
僕も「ありがとうございます」と頭を下げ、その場を離れました。
その夜は、いつもよりずっと静かでした。テレビの音も話し声も、ほとんど気になりません。
どうやら、音量を下げてくれたようです。
最初から直接伝えていればよかったのかもしれません。それでも、思い切って事情を話したことで、ようやく落ち着いて眠れるようになりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














